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電車の忘れ物25トン廃棄せずリユースへ

2021年12月10日 13:17
電車の忘れ物25トン廃棄せずリユースへ

年間およそ25トンの忘れ物があるという東急線沿線。東急電鉄は、12月8日に駅や車内の忘れ物をリユース品として再流通する取り組みを発表し、「モノを捨てないまちづくり」を目指すということです。こうした中、廃棄されたビニール傘でバッグを製造する企業も。

■駅や車内の“忘れ物”を廃棄せず“リユース”へ

東急電鉄の担当者によりますと、年間25トン(2020年度)もある忘れ物は、遺失物法にのっとり、警察署で保管・管理されています。しかし、3か月過ぎても持ち主が見つからない場合は、やむを得ず廃棄物として処理されているということです。

忘れ物で最も多いのは、傘。ほかに衣類や服飾雑貨、かばん類なども多くあります。

この状況を受けて、東急電鉄は12月から「モノを捨てない」まちづくりの実証実験を開始。法的に保管期間が過ぎて廃棄される忘れ物を、国内外の「ブックオフ」を活用して再流通させることで、環境負荷の低減をしていきたいとしています。得た収益は、再生可能エネルギーで走行する「世田谷線」などの電力の購入にあてるということです。

■廃棄された“ビニール傘”でバッグ製造 きっかけは「雨の渋谷」

こうした中、廃棄されたビニール傘を再利用する企業もあります。駅などに捨てられたビニール傘の素材を使ってバッグや帽子を製造・販売をする「モンドデザイン」。

なぜ、あえて廃棄されたビニール傘を素材として使うのでしょうか。代表の堀池洋平さんに聞きました。

「元々2007年頃から、“廃タイヤ”のリサイクル製品を展開していたんですが、ある日、雨の渋谷でビニール傘が散乱していたんです。その光景を見て、捨てられた傘の再利用ができないかなと思いました」と話す堀池さん。バッグづくりのきっかけの一つは、街で捨てられていた沢山のビニール傘だったといいます。

堀池洋平さん
「駅や商業施設で廃棄された傘は、回収業者に集めてもらっています。回収後はビニールの部分と金属の部分は付着しているのでどうしても手作業でないと解体できなく大変です」

ビニール傘の回収から製品となる縫製まで、すべて手作業でつくっていて、材料にお金がかかってないものの、回収や再利用に大変な労力と時間がかかると話します。

独自の加工方法で圧着されたビニールは、水に強く、汚れなどのメンテナンスがしやすいのが特徴だということです。

■ビニール傘からうまれたブランド「10年後になくなればいい」

廃棄されたビニール傘を再利用した企業の取り組み。堀池さんは、自身がかかわるブランドの意義をこう話します。

堀池さん
「(廃棄されるビニール傘がなくなればいいので)このブランドも10年後になくなればいいと思っています。現状、ビニール傘は、あまりリサイクルされていないんですが、ほかにリサイクルできる方法がもっと増えていければいいと思います。そのきっかけの一つになれば、ブランドとしての存在意義があるのかなと思います」