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廃棄寸前『リーバイス501』蘇らせた思い

2021年12月4日 18:55
廃棄寸前『リーバイス501』蘇らせた思い

捨てられる運命だった20トンのジーンズを蘇らせたい──。町工場から始まった取り組みが、大手百貨店や有名ブランドを巻き込み、新たな価値を生み出すプロジェクトとして動き始めました。


◆廃棄寸前の『リーバイス501』生まれ変わる

今週、都内で開かれた内覧会。会場に並ぶパンプスや、スニーカー、洋服など、全て“青色”です。

クッションをよく見ると、見慣れたポケットに「リーバイス」のタグ。実は、ここにある製品は全て、廃棄寸前の『リーバイス501』で作られたものです。

これは、『三越伊勢丹』を中心に、小売り6社とおよそ50のブランドなどが協力して「501」を生まれ変わらせるプロジェクト。その“きっかけ”となったのが、都内でアパレルの工場を営む山澤亮治さんです。

『ヤマサワプレス』山澤亮治社長「(製品を見て)気持ちがあふれてきて、いっぱいになりますね」


◆高く積まれたジーンズ、その量20トン!

およそ3か月前、山澤さんの会社には、大人の身長よりも高く積まれたジーンズの山がありました。色の濃いモノ、薄いモノ、中には穴だらけのものも……。

この全てが、古着でも売れない廃棄寸前の『501』。2年半前、山澤さんがアメリカ・ロサンゼルスでみつけたもので、その量およそ20トン! とてつもない量ですが……

山澤社長「“もったいない”というのが、やっぱり。リーバイスが好きなので、それが一番大きい」

山澤さん、“思いのままに”買い付けてきました。


◆“世界2番目の環境汚染産業”アパレル業界…見捨てられた501の再生を

1890年に誕生した『リーバイス501』は、“ジーンズの原点”ともいわれ、今も、販売されている人気モデルです。山澤さんは、修復した『501』を売るブランドまで立ち上げましたが、個人での販売に限界を感じていました。

その頃、出会ったのが大手百貨店『伊勢丹新宿店』でバイヤーを務める神谷将太さんです。

伊勢丹新宿店『リスタイル』バイヤー 神谷将太さん「(『501』は)素材として元々価値が高いものだと思っているので」

実は、アパレル業界は、世界2番目の環境汚染産業といわれています。そこで、この見捨てられた『501』の“再生”を山澤さんに持ちかけたのです。


◆『ミナ ペルホネン』の刺しゅうで生まれ変わった生地

2人がまず取り組んだのは、『501』を生地にすること。ここで山澤さんの本業が活きてきます。アパレル商品の汚れやキズを直す技術を生かし、ジーンズの汚れを一本一本手作業できれいにします。そして、つなぎ合わせて一枚の布に仕立てます。

では、作られた生地はどう生まれ変わったのでしょうか?

神谷さん「かわいいですね~」

山澤社長「すごい!」

白い刺しゅうがされている青い生地が、2人が作ったデニムの部分。これを作ったのは「タンバリン」と呼ばれる刺しゅうが特徴のブランド『ミナ ペルホネン』のデザイナー、皆川明さんです。

『ミナ ペルホネン』デザイナー 皆川明さん「元々のジーンズの面影がここに出ているので」

山澤社長「すっごい!」

神谷さん「あれがこうなるなんて」

山澤社長「自分たちが作った生地だとは思えないですよね、ここまでくると」

デニムの生地は元々厚いため、刺しゅうができるよう、つなぎ目を薄くするなど、工夫したといいます。

皆川明さん「身の回りにあるものを、使い方を自分たちから考えて、そしてそのものが長く世の中や暮らしに残る工夫をしていく」


◆50以上のブランドが協力…生まれ変わった『リーバイス501』150種類以上

50以上のブランドの協力を得て生まれ変わった『リーバイス501』は、150種類以上。来年3月から、『三越伊勢丹』などで販売されます。

神谷さん「持続可能性になるような取り組みを継続的にやっていくことが自分にできること」

山澤社長「もっとより良いものを出せるお手伝いをしていくことは、変わりなくやっていきたいなと思ってます」