×

事故1.7倍…「第4種踏切」廃止など勧告

2021年11月30日 20:42
事故1.7倍…「第4種踏切」廃止など勧告

遮断機のある踏切に比べ、遮断機と警報機がない踏切では、事故が多く起きています。総務省は、そのような踏切について、廃止または遮断機などをつける改善に積極的に取り組むよう国土交通省に勧告しました。

     ◇

朝の通勤時間帯、東京・品川区にある東急大井町線の踏切では――

記者
「走っている方がいます。危ない危ない危ない」

警報機が鳴り、遮断機が下りたにもかかわらず、踏切を通り抜ける人の姿がありました。

記者
「危ない危ない!!」

さらに、列車が迫る踏切内で靴が脱げてしまった人もいました。この踏切は、国土交通省が指定している“改良すべき踏切”の一つです。

利用者
「(踏切は)開くんですけど、すぐしまっちゃって。みんな待っててイライラしてます」

東急電鉄は、こうした踏切について「自治体と連携を図り、立体交差や道路の地下化などを検討していきたい」としています。

    ◇

危険がつきまとう踏切の中には“遮断機”と“警報機”が設置されていない踏切もあります。これは「第4種踏切」と呼ばれるもので、全国2603か所、踏切全体のおよそ8パーセントを占めています。

実はこの「第4種踏切」は、総務省・行政評価局が調べたところ、「遮断機のある踏切に比べ、1.7倍も多く事故が起きている」というのです。

利用者
「狭いんですよね。そこも事故があって」

毎年、死者も出ていることから、総務省は30日、国土交通省に対し「第4種踏切」の廃止、または、遮断機などをつける改善に積極的に取り組むよう勧告しました。

この勧告に対し、国交省は「踏切の安全確保には地元自治体の協力が不可欠で、一層取り組みを進めたい」としています。

    ◇

現在も44か所の「第4種踏切」が残っている茨城県の関東鉄道では、ここ20年で半数以上減らし、今年も2か所で廃止するなど、安全対策を進めていますが――

利用者
「不便は不便だよね。なくなると」「(踏切がなくなると)もう生活できないですよね」

地元住民にとっては“生活道路”となっている場合も多いため、「第4種踏切」の危険性は理解しているものの、廃止にはなかなか踏み切れず、遮断機の設置も費用がかかるため、簡単にはいかないといいます。

利用者
「遠回りになっちゃって、みんな道がないですからね」

関東鉄道は「今後10年をメドに廃止や、遮断機の設置などを進め、第4種踏切をゼロにしたい」と話しています。

    ◇

また、JR東日本は今年8月、死亡事故をきっかけに、神奈川・逗子市の踏切を廃止することになりました。

今回の調査では「事故が起きないと、廃止に向けた協議を進められない」といった実情も明らかになりました。

JR東日本は「引き続き適切に管理し、必要に応じて関係自治体とも協議し廃止などを対応する」ということです。