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人気コスメ・LUSH SNS停止の理由

2021年11月26日 16:25
人気コスメ・LUSH SNS停止の理由

世界48か国で展開する化粧品メーカー「LUSH」は、26日を最後に、フェイスブックやインスタグラムなどから「サインアウト」(=更新停止)すると発表しました。SNSマーケティングが重視される時代に、なぜ?決断に至る経緯とは?


■SNSの停止宣言 デジタル時代になぜ

11月26日の正午過ぎ、LUSH新宿店のインスタグラムにアップされた複数の投稿。

「BE SOMEWHERE ELSE(ここではないどこかへ)」というメッセージ入りの写真とともに、この投稿を最後に、しばらく更新しないことを説明する、ホームページへのリンクも貼られていました。

SNSを使ったマーケティングが重視される時代に、なぜSNSと距離を置く判断をしたのでしょうか。

■きっかけはFB元社員の証言

「一ユーザーとして、一企業として、安全が確認されない場所にお客さまを招くことは出来ないと考えます」

こう話すのはLUSHジャパンの広報担当・小山大作さんです。

イギリス発のLUSHは、化粧品やバス用品のメーカーとして知られており、世界48か国で約900店舗を展開、日本国内には75の店舗があります。

各店舗が運用するインスタグラムのフォロワー総数は約20万で、SNSは同社にとっても、顧客とコミュニケーションが出来る重要なツールのひとつでした。

今回、「一時停止」のきっかけになったのは、フェイスブックに関する、ある「告発」でした。

■安全が確認されないSNSは使わない

「ずっと見続けてしまったり、ユーザーがリラックスできないように設計されている、という告発があったことが報じられました。安全であることが確認されるまで、これらのSNSを使うべきではないと判断しました」

フェイスブックを巡っては今年10月、元社員が「子供に悪影響を与えているのに必要な対策を取っていない」とアメリカ議会で訴えるなどしていて、企業体質に批判が集まっています。

これをうけLUSHジャパンは、アメリカ・Meta社が運営するフェイスブックとインスタグラム、さらに中国・バイトダンス社のTikTokについては、ユーザーにとって安全かどうか確認ができるまで、利用を一時的に停止する判断に至ったと説明します。

■SNSをより安全な場所に

ただし、SNSすべてを否定するものではない、と小山さんは言います。

「TwitterやYouTubeでも、ヘイトなどの問題が起きていますが、運営会社が問題のあるアカウントを凍結するなど、企業として対応しているようにも見えます」

TwitterとYouTubeは、今後も利用すると表明。コロナ禍で、SNSを使ったコミュニケーションが活発に行われていた事実を挙げ、あくまでも「より安全な場所でお客さまとコミュニケーションを取るべき」という判断があったと強調します。

■「問題を見過ごすこと自体が信頼を損なう」

「更新停止」により、顧客とのコミュニケーションが減り、収益を得る機会が減少するのではないか、との懸念も当然持ち上がったと言います。しかし、小山さんは「賛否があることは理解していますが、中長期的な視点から見ると、問題を見過ごすこと自体がブランドへの信頼を損なう結果につながる」と述べ、「(SNSの安全性について)一度立ち止まって考え、議論するきっかけになれば」と話しています。