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輸入品「38%」値上がり…影響いつまで?

2021年11月24日 9:38
輸入品「38%」値上がり…影響いつまで?

物流の停滞を受けて、アメリカでは幅広い分野で物価の急上昇が起きています。日本への影響は既に現れていて、輸入品全体の物価は去年より38%アップ。ただ、日本の給料は横ばいのため、これまで企業が価格に転嫁しにくく、景気低迷から脱出できずにいます。


■物価上昇、日本への影響は?

有働由美子キャスター
「アメリカでせっかく経済が動き出したと思ったら、物流の停滞が深刻な状況です」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「さらにこの状況が、ものの値段が異常に上がっていることにつながっています」

「アメリカメディアのタイム誌が、暮らしぶりをこう紹介しています。朝の食卓で、ベーコンは去年より20%値上がりし、卵は12%上がった。洗濯機を買おうとしたら去年より15%も高い。中古車も26%以上値上がりし、ガソリンは50%アップしています」

「(新型)コロナ(ウイルス)の規制が解除されて、『待ってました』と街に出てものを買おうとしているけれど、物流が滞っているので供給が追いつかない。ただ『欲しい、欲しい』となっているので値段が上がっています」

有働キャスター
「日本にも影響しますね」

小野委員
「既に影響しています。アメリカなどの物価上昇と、物流の停滞、円安も重なって、輸入品全体の物価は去年より38%も上がっています」

「アメリカと日本では違いがあります。アメリカでは給料がアップしているので、値上げしても買ってくれます。だから企業は販売価格を上げやすい」

「ただ日本は給料がほぼ横ばいで、給料が上がらないのに値上げすると買ってくれないので、企業は販売価格を上げにくい。これまで企業が歯を食いしばって極力、消費者への値上げを抑えてきたので、それほど上がっていません。ただ、それも限界があります。今後、確実に上がっていくという見方もあります」

■来年半ば?…物流「正常化」いつ

有働キャスター
「この状態はいつまで続くのでしょうか?」

小野委員
「第一生命経済研究所のエコノミスト・藤代宏一さんはこう見ています。アメリカでは去年から今年にかけ、全国民に3回にわたり6~15万円の現金給付があり、週に10万円ほどの失業給付を受け取る人も大勢いて、あえて働かないという人が大勢います」

「その人たちが再び働き始めるとなると、来年半ばには物流が元に戻る。そうすると、物価も正常化する、落ち着いていくだろうと。そしてこうした状況を踏まえて日本も、何より景気回復につなげていけるといいですよね」

「藤代さんは『物価上昇と同時に企業の積極的な賃上げも必要だ。そうすれば消費も増えて、景気低迷からの脱出につながる』と指摘しています」

■落合さん「資産の購入習慣を」

有働キャスター
「日本の消費はどうすれば増えていくのでしょうか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「消費が少ないのは、実はESG的には悪いことではないのではないかと思います。少ない物質的なものを購入して移動距離も少なくて、サプライチェーンも短くするのは、環境負荷的には悪くはない」

「とはいうものの、価値交換を行わない社会は硬直化してしまうので、消費するのではなく貯金の代わりに資産として残るものを買う習慣がつくと良いのかなと思います」

有働
「例えばどんなものでしょうか?」

落合
「現物資産はインフレにも強いので、貴重なウイスキーなどでしょうか。10万円ほどのものを買っていたら4000万円ほどになった話もよくありますので」

有働
「それを選ぶ時のポイントはありますか? 今買っておいて、いずれ資産として価値を持つような…」

落合
「数が限定されていて、もしくは中古市場で価格が安定しているものです」


(11月23日『news zero』より)