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千葉地裁 裁判員見学ツアー開催…狙いは?

2021年11月22日 20:59

裁判員制度を身近に感じてもらおうと裁判所が見学ツアーを行いました。その狙いとは…。

22日、千葉地裁が開催した裁判員見学ツアー。ツアーに参加したのは裁判員制度に参加したことがない男女9人。法廷や評議室、裁判員選定の手続きなどを現役裁判官の説明を受けながら見学し、その後、裁判員経験者も加わり座談会も開催されました。

座談会では、裁判員経験者から裁判員に選ばれた時の気持ちや判決を下した時の心情などについて意見が交わされ参加者たちは真剣に耳を傾けていました。

■千葉県は裁判員に選ばれる確率が全国ナンバー1

2009年に裁判員制度が始まって以来、千葉県は裁判員裁判の対象となる事件が最も多かったといいます。これは千葉県に成田空港があることが大きく関係しています。

裁判員裁判の対象となるのは殺人や傷害致死などの重大事件ですが、このほかに覚醒剤の密輸入に関する罪(覚醒剤営利目的輸入罪)も対象となることから海外から覚醒剤を密輸入する事件が多い千葉県は、裁判員制度の対象になる事件が多いといいます。

そのため、人口あたりの裁判員候補に選ばれる割合は225人に1人となりこの確率は、東京本庁(344人に1人)や大阪本庁(266人に1人)をおさえて全国トップなんです。

「千葉に住んでいれば、他県よりも裁判員になる可能性が高い」

そんな千葉地裁だからこそ、見学ツアーには“ある思い”が込められていました。

■「裁判所は敷居が高い、なんか怖い」という漠然としたマイナスイメージを払拭したい!!!

千葉地裁によると、裁判員裁判を経験したおよそ96%の参加者が「参加してよかった」「また参加したい」と裁判員制度について“ポジティブ”な意見が多いのに対し参加したことがない人からは「敷居が高い」「法律について知識がなく不安」「なんとなく怖い」といった“ネガティブ”な意見も多いといいます。

裁判所としては、今回、見学ツアーを開催し、実際に裁判員に選ばれてから参加するまでの一連の流れを知ってもらうことでその“ギャップ”を少しでも埋めたいという思いがあるのです。

ツアーの参加者は――「実際のイメージが湧いて裁判員制度をより身近なものに感じられるようになった。裁判官や検察官を堅苦しいと思っていたが自分たちの意見に耳を傾けてくれる姿をみて人間味を感じることができ、関心が高まった」(30代男性・公務員)

「法律を学んでいるので、裁判官や弁護士と話す機会は多いですが、実際に流れを体験できるのは貴重な経験でした。検察官を目指しているので、法廷で裁判長の椅子に座ることができたのは良い思い出になりました。想像よりもふかふかでした」(20代女性・法科大学院生)

千葉地裁の担当者は、裁判所や裁判員裁判を市民に身近に感じてもらうための取り組みを今後も続けていきたいとしています。