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地震で危険な通学路…防災小説で見えたもの

2021年11月20日 17:57
地震で危険な通学路…防災小説で見えたもの

地震などの災害が発生したら自分の身に何が起こるのかを想像して物語を書く「防災小説」。今週、全国5つの中学が参加してこの防災小説の発表会が行われました。ある中学生の発表からは首都直下地震が起きると、普段、何気なく使っている通学路に迫る危険が見えてきました。



東日本大震災をはるかに超える甚大な被害が想定される南海トラフ巨大地震。

愛媛・愛南町 御荘中学校「突然鳴り響く速報とともに地響きが鳴る。とにかく避難しなければ。避難訓練を思い出しながら、大声で高台への避難を呼びかけた」

高知・土佐清水市 清水中学校「避難所で生活を営む上で食料の問題は深刻だった。体育館に備蓄されていた食料も、みんな喉から手が出るほど欲しい。食料の配給の時には整列を促すも、なかなかうまくいかない」」

愛媛、高知から参加の2校は南海トラフ巨大地震を想定した防災小説を発表しました。オンラインで行われた発表会に参加したのは北海道から高知まで、全国5つの中学校。

防災小説はまだ起きていない災害を自分が体験したかのように書く未来の物語です。いずれも大きな災害が想定されている地域の中学生で小説は地震や津波そのものや避難について書かれています。

埼玉県の川越市立霞ケ関西中学3年の谷林真友さん。唯一、首都圏から参加した中学生です。

谷林さん「今まで災害を経験したことない方も自分の町で起こったことを考えたら、すごい怖いことなんだと知って欲しい」

谷林さんがテーマにしたのは首都直下地震。学校のある埼玉県でも大きな被害が想定されています。

先月、東京や埼玉では10年ぶりに震度5強を観測する地震がありました。将来、首都直下地震の発生が懸念される中、経験したことのない災害をイメージしながら書き上げた小説です。

「『なんか揺れてない?』友達の叫び声、建物の崩れる音、物が落ちる音、いろんな音が耳に飛び込んできた」

下校中、突然地震に遭遇したという設定。その時、どんな音を聞くのかできるだけ細かく想像してみました。さらに…

「私たちはすぐに避難所の学校に向かうことにした。しかし、それは簡単なことではなかった。変わってしまった町を歩くのは、いつもの登下校の何倍もの時間がかかった。道路が冠水しているところもあった」

道路の冠水。谷林さんの経験から生み出したシーンです。

谷林さん「通学路で使っているけど、大雨が降った時にここに大きな水たまりができてしまって、ほとんど通れない状態になってしまっていた。もし地震とかで、川がふさがってあふれてきた時にここに水がたまって、通れなくなったら怖いなと思って書きました」

実際に何が起きるかは誰にも分かりません。それでも想像してみることが大切だと言います。

谷林さん「自分の町は自分が一番分かっていると思うから、もし自分の町で災害が起きた時にどこが危ないか、どこに避難するか考えることが大切」