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10万円給付“不公平”なぜ合算にしない?

2021年11月18日 1:54
10万円給付“不公平”なぜ合算にしない?

18歳以下への10万円給付。「年収960万円」という所得制限を設けていますが、高市政調会長は、17日、自民党内の会合で「不公平だという声がたくさん寄せられている」、給付対象の決め方について「本当に申し訳ないことでございます」と話しました。

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■夫が年収970万円・夫婦それぞれ900万円の家庭…給付は?

小栗泉・日本テレビ解説委員
「高市さんのいう『不公平感』を、2つの家庭を例にみてみます。夫の年収が970万円で妻が専業主婦のAさん一家。一方、夫婦共働きでそれぞれ年収900万円のBさん一家。それぞれ子どもは2人ずついます。世帯としての年収をみてみますと、倍近い開きがあります」

「今回の所得制限の960万円は、世帯収入ではなく、“夫婦いずれかの年収”なんです。Aさん一家の夫は年収970万円で960万円を超えていますから、給付はなくて0円ということになります。一方、Bさんは1800万円もの世帯収入があるにもかかわらず、子ども2人で20万円の給付が受けられるということになります」

有働
「これ、もし私がAさんだったら、ちょっともやもやしますよ」

■「不公平感」より「スピード感」重視?

小栗
「実際、自民党内からも、これまで反発の声があがっていました。福田総務会長は『個人的には合算するのが当然だと思う』、自民党ベテラン議員も『どうみても世帯で合算するべきだ。給付する理由と合っていない。ちょっとひどい話だ』と話していたんです」

有働
「なるほどと思うんですが、そうすると、なぜ世帯合算にしないんですか?」

小栗
「実は、この仕組み、既に給付されている児童手当の仕組みと同じなんです。今回、政府は、『不公平感』よりも『スピード感』というのを重視していて、児童手当の仕組みを用いれば年内の給付が可能になるとしているんです」

「今回の議論を受けて、高市さんは『児童手当の仕組みそのものも世帯で合算したほうがいいという声もある。しっかりと仕組みを立て直して、迅速かつ公平に給付できるように整理をしていきたい』とも話しています」

■自分の生活だけでいっぱいいっぱい“Cさん”も…

有働
「辻さんはどう感じますか」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「18歳以下10万円という前提で、まず議論していると思うんですけれども、18歳以上でも経済的に困っている人はたくさんいるんじゃないかな、とは思いました。子育て世帯への支援は確かにすごく必要だと思うんですけれども、AさんやBさんだけじゃなくて、例えば年収が200万で、住民税は納めていて、子どもがいないCさんのような、自分の生活だけでいっぱいいっぱいという人も、今、結構いるんじゃないかなということを忘れないでほしいと思います」

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有働
「この10万円、もともとは子どもの未来を応援するためだった10万円ですけれども、コロナで困っている人への対策なのか、それとも景気対策なのか、そのあたりが国民にとってわかりづらくなってしまったので、やるのであれば目的をはっきりしてほしいと思います」

11月17日放送『news zero』より。