×

首脳会談で米「ガードレールを」…中国は?

2021年11月17日 8:56
首脳会談で米「ガードレールを」…中国は?

米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は日本時間16日、初の対面となるオンラインで会談に臨みました。衝突を避けることでは一致し、バイデン大統領は「ガードレール」構築を提案。半面、台湾問題や包囲網をめぐり、両者の溝は深刻なままでした。

■衝突回避で…「ガードレール」とは

有働由美子キャスター
「米中の首脳が16日、オンラインで会談しました。その様子を見ると、両国の関係が非常に難しいということが分かります」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「そうですね。だからこそ、バイデン大統領が言った『ガードレール』が大事です。どちらかが道をそれても衝突しないように、両者の間に安全策としてのガードレールを作ろうというものです。具体的には、対話の窓口というところでしょう」

有働キャスター
「習近平主席はそれをどう受け取ったのでしょうか?」

小野委員
「衝突はいけないと思っていますから、趣旨としては同意しています。ただ実際、ガードレールと言いながら難しいのが台湾の問題です。最近も中国は、台湾の防空識別圏の中で戦闘機などを1日延べ40機近く飛ばしました」

「習主席は16日に『中国の完全統一が中華民族の望みだ』と発言していました。台湾統一を成し遂げたいと、あらためて執念を見せました」

「これは中国の国としての問題で、話し合う問題ではないぞ、と。台湾問題でアメリカ側が介入することは『火遊びであって、自分に火が降りかかるだけだ』とも言っています」

■年頭は中国…「包囲網」に嫌悪感

有働
「取っ掛かりを含めて難しいですね」

小野
「もう1つ、中国には我慢ならないことがあります。今、アメリカ・日本・オーストラリア・インドで『QUAD(クアッド)』という、安全保障と経済を協議する枠組みがあります。中国をけん制する思いがここに滲んでいます」

「またアメリカは、オーストラリア、イギリスと『AUKUS(オーカス)』という防衛協力の枠組みも作りました。これも中国を念頭に置いています」

「中国はこうした包囲網を作られるのが嫌です。習主席は16日も、『陣営を分けたり、集団で対抗したりすれば、結局は世界がひどい目に遭う』と述べました」

「アメリカからの圧力を回避したい。そのために経済・エネルギー・科学技術などの分野では、共通の利益で協力して補い合っていきたい、バイデン大統領ともさまざまな形で連絡を取り合いたいとアピールもしています」

■日本は…落合さん「どっちつかず」

有働
「今回の米中首脳会談をどう見ましたか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「お互いの本心が見えにくい内容だったのかなと思います。トランプ前大統領に比べて、バイデンさんは中国に対しては温厚に見えますが、今後どう出るのか。本心ではお互い、覇権は譲りたくないと思うので、『どうしようかね』というところだと思います」

有働
「万が一、台湾で衝突が起きたら日本にも影響は少なからずあります。日本はどうすべきでしょうか?」

落合
「トランプ時代だったら、安倍(元)首相路線だと、どうやってアメリカと仲良くしていくか、とても緊密に対応していました。それに比べると、今はどっちつかずの状態です。どっちにとってもナッシングな感じになってしまうので…。日本の存在感がないと。今は多分(存在感は)ないでしょうね」

有働
「日本の動きを含めて非常に難しい問題です」

(11月16日『news zero』より)