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コロナ禍で値上がり「ウッドショック」とは

2021年11月10日 22:42

世界的に大きな影響を与えている新型コロナウイルス。そんな中、アメリカでは在宅需要の高まりを受けて“世界的な木材価格の高騰”。「ウッドショック」は日本の住宅市場にも影響を与えている。木材を輸入に頼る日本が考える対策とは。(国際部・田中絵麻)

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■木材価格の高騰「ウッドショック」

世界中に影響を与えている新型コロナウイルス。多方面で物流がストップする中、輸入木材が不足し、木材全体の価格が高騰する「ウッドショック」が日本の住宅市場を直撃している。

世界最大の先物取引所として知られるアメリカ・シカゴの取引所では、木材の先物価格が1年で約4倍に高騰した。アメリカの木材の価格が跳ね上がったことで、日本に輸入されるロシアやヨーロッパ産の木材価格も大きく値上がりした。


■背景には“巣ごもり需要”

価格高騰の背景は何か。ひとつはアメリカで住宅ローンの低金利政策の中、新型コロナで在宅需要が高まり、郊外に家を建てる人が増えたことだ。

さらに、“巣ごもり需要”によって運ぶモノが増える一方で、アメリカの港では荷物の積み下ろしなどを行う作業員の不足などによりコンテナ船が滞留。運送の需要と供給のひっ迫を招いた結果、運送費のコスト高にもつながった。

アメリカでの需要が高まったことで木材の価格は世界的に高騰。コンテナ不足も相まって、外国から木材を輸入することが難しい状況となっている。


■鍵は“国産の木材”

輸入できる木材が減る中で、日本はどう対応しているのか。政府は「国産の木材」を活用することで木材不足を解決したい考えだ。

今年8月、全国の工務店を対象に行われた調査によると、今年5月と比較して「受注が悪化した」と約4割が回答。そのうち8割が「木材が調達できない」ことや「工事金額が高くなり契約が成立しない」など「ウッドショック」を理由に挙げた。

日本の住宅市場にも影響を与えているこの状況に改善の見込みはあるのだろうか。「ウッドショック」は一時的な現象との見方もあるが、国産材の活用などでうまく対策を講じることができるかどうかが今後の状況を左右する鍵となりそうだ。