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沖縄のホテル総出で…「軽石」15トン撤去

2021年11月6日 12:03
沖縄のホテル総出で…「軽石」15トン撤去

沖縄で軽石が大量に漂着し、生き物や経済に大きな影響を与えています。修学旅行シーズンを迎えるホテルは従業員総出で15トンを撤去。船が出せずマグロが高値となり、フェリーも欠航しました。国は、被害が本州にも及ぶと想定し、回収策を検討しています。

■海のサンゴが…魚や貝への影響も

沖縄では、県独自で出していた新型コロナウイルス対策の時短要請が明け、11月からようやく日常が戻りつつありました。ただ、今問題となっているのが、広い範囲の沿岸に漂着している大量の軽石です。

5日午前1時ごろ、琉球大学の山城秀之教授が撮影した沖縄・今帰仁(なきじん)村の海の映像を見ると、大量の軽石が、サンゴなどに積もっているのが分かります。山城教授は、生物への影響を懸念しています。

「(軽石の)量的に圧倒されました。光合成に依存する生き物はずっと真っ暗だと影響がくると思います。魚は餌と間違って食べたり、エラに詰まったり、貝などにも影響があると思います」

■ホテル、総出で「15トン」撤去も

軽石の影響は観光面にも広がっています。ホテルモントレ沖縄スパ&リゾートの広報担当者は「6日に400名でご予約いただいていて、7日にマリンスポーツが入っています」と言います。

これからの修学旅行シーズンで、来年3月までに約2000人の修学旅行生が訪れる予定といいます。広報担当者は「軽石が10月20日ごろから漂着が始まりまして、本当に瞬く間に量がかなり増えまして…」と振り返ります。

スタッフ総出で、重機や手作業で毎日5~6時間清掃し、5日までに約15トンの軽石を撤去したといいます。

広報担当者
「(緊急事態宣言が解除され)これからという時でしたので、タイミング的に非常に厳しい状況ではあります。この時期、マリンスポーツを楽しみにいらっしゃる団体が多いので、1日も早く国や県のご支援がいただけると大変助かります」

■船出せず…マグロ漁獲減「高値」

沖縄で盛んなマグロ漁にも影響が及んでいます。県の漁業協同組合連合会によると、エンジンに軽石が入る恐れがあるため漁船を出せず、マグロの漁獲量が減少。卸売り価格が、10月に比べ上昇しているといいます。

県漁連の課長
「年末に向けて需要が高まるが、供給が追いついていない。このまま続けば、他の鮮魚類も値段を上げることになるかもしれない」

また大量の軽石の漂着で、沖縄の離島と本島を結ぶフェリーが欠航する事態にもなっています。

こうした状況を受け、国土交通省などは5日、軽石の効率的な回収方法について会議を開きました。今後、本州などでも被害が生じる恐れがあると想定し、11月中に検討結果を取りまとめる方針です。

(11月5日『news zero』より)