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外出先でゴミを捨てたい。さぁどうする?

2021年11月6日 16:26
外出先でゴミを捨てたい。さぁどうする?

飲料の自動販売機の横にある、空き缶やビン、ペットボトルを回収するボックス。これはリサイクルボックスで、ゴミを捨ててはいけません。また飲み残しが入ったままのボトルなどを入れてもいけません。

しかし、紙くずや菓子の包装、テイクアウトのコーヒー容器などを捨てた経験がある人もいるのではないでしょうか。

そんなルール違反のゴミがどんな結果をもたらすのか、回収されたペットボトルや缶のゆくえを追いました。

■AIも導入「仕分け」の現場

リサイクルボックスの缶やペットボトルなどを仕分けしている埼玉県にある「彩源」。リサイクルの中間処理の会社です。ここには関東各地からペットボトルなどが集まります。最新の大型設備が導入されていて、年間1万2000トンを仕分けすることができます。

仕分けの方法はさまざま。機械がスチール缶を磁石でくっつけたり、軽いペットボトルやアルミ缶を強い風をあてて吹き飛ばしたりして仕分けます。それでも分別できないものは、AI(=人工知能)を搭載したロボットが高速で一つずつ仕分けます。

しかし、機械やロボットではすべてを仕分けるのは難しく、最後は人の目と手が必要になります。そこには思いもよらない異物が入っているためです。

■こんなものまで? 様々な異物

実際どんな異物が人の手で仕分けされているのでしょうか。

 ・弁当の空容器
 ・CD
 ・電池
 ・携帯電話
 ・フライパン
 ・現金の入っていない財布
 ・手錠
 ・拳より大きい岩

……などなど、異物は多岐にわたります。近くにゴミ箱が見つからずに捨ててしまったのでは? と推測されるものから、なぜ捨てたのか理解しがたいもの、果ては犯罪のにおいがするものまで。

特に危ないのが、乾電池や、リチウムイオン電池。仕分ける工程で圧力がかかり、発火することもあります。

また、コロナ禍で使用済みのマスクが捨てられることも増えていて、仕分ける人は危険と隣り合わせで作業を行っているのです。

■異物のもたらすものは……

「彩源」の武笠常務は、「異物は危険を伴います。そのうえ仕分けの効率を落とし、設備を傷つけ劣化させてしまいます。絶対に捨てないでほしいです」と訴えます。

また、異物はコスト増加の要因にもなります。この会社では、異物を産業廃棄物として処理していますが、その費用は毎月1000万円ほどにのぼるといいます。

さらに、本来の目的であるリサイクルで生まれる製品の品質低下にもつながるといいます。

一番困るのは、たばこの吸い殻をペットボトルなどの容器に入れて捨ててしまうケースだといいます。吸い殻は取り除くのが難しく、機械でペットボトルをつぶして洗う工程でも、簡単には流れ落ちてきません。どうしても落としきれず、こびりついたままリサイクルされる原料として、一緒に溶かされてしまうケースも多いといいます。リサイクルされる製品にたばこの吸い殻が入り込んでしまうことになります。

■“異物を捨てにくい”ボックス

こうした状況を改善しようと、飲料メーカーの団体である全清飲(=全国清涼飲料連合会)は、“異物が捨てられにくいリサイクルボックス”を開発し、今年の夏に発表しました。

ペットボトルなどを投入する穴が下向きについているため、近くで見ないと、そこにボックスがあると気がつきにくい仕組みになっています。離れた位置からゴミ箱を探す人からは見つけにくくしたというわけです。

この新型のリサイクルボックスの効果をみるため、いま実証実験が行われています。全清飲の担当者は「異物は明らかに減っている」と話し、手応えを感じているということです。

意外な発見としては、穴が下向きについていることで、雨が降ったときも水が入らないため、きれいな状態でペットボトルを回収できるメリットも。

■捨てるその前に思いをはせて…

現在、家庭から出るゴミの分別については、自治体の努力もあり、意識が高まっているといいます。しかし、外出先でも同じように気を配っているでしょうか? 多くの人たちがリサイクルに力を尽くしています。

捨てたいと思ったその時、ゴミを誰がどのように仕分け、生まれ変わらせているか、思いをはせてはいかがでしょうか。