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「若者の政治離れ」は本当?コロナ禍で変化

2021年10月29日 15:34
「若者の政治離れ」は本当?コロナ禍で変化

「若者の政治離れ」と言われる中、今年7月にZ世代を対象に実施したアンケートで、約8割のZ世代が投票に前向きであることがわかりました。また、コロナ禍によって、若者の政治に関する意識に変化があったということです。

■若者の選挙投票意向は約8割 コロナ対策や税制度に関心が高い

若者に人気のファッションビル「SHIBUYA109」(東京・渋谷区)のマーケティング部門「SHIBUYA109ラボ」が今年7月、“Z世代”と呼ばれる18歳から24歳までの男女400人を対象に、政治に関する意識の調査を実施しました。

今後の選挙での投票意向について聞いたところ、「必ず投票すると思う(45.8%)」、「投票したいがまだわからない(日時や場所による)(32.0%)」と、約8割のZ世代に投票意向があることがわかりました。

政治に関して興味があることを聞くと、「新型コロナ感染症対策(50.3%)」、「税制度(消費税など)(34.3%)」と続き、若者の生活に直結するコロナ対策や税制度に対する関心が高いことがわかりました。

■コロナ禍で若者の生活が激変 政治をより身近に感じる

政治に興味を持ったきっかけを聞くと、「テレビ」と「授業」のほか、3位に「コロナ禍での政府の対応(30.6%)」となり、コロナ禍をきっかけに、政治に興味を持ったという回答が多くみられました。

調査結果について、SHIBUYA109ラボ所長の長田麻衣さんは「新型コロナウイルスの感染拡大によって、若者の生活が激変し、政治家の判断ひとつが自分の生活にも大きく影響するため、若者が政治をより身近に感じたのではないか」と分析しています。

■「政治に関心があっても政治から遠ざかる」若者の心情

一方で、若者の投票率向上を目指すNPO法人「ドットジェイピー(東京・千代田区)」学生代表の細谷柊太さん(21歳・三重大学4年)は、若者が投票に行かない理由について「政治が若者の方を向いていない」ことを理由の一つに挙げています。

「投票したい候補者がいない、政治の情報がないから、誰を選んでいいのかわからないし、政治や選挙について、詳しく教えてくれる人もいません。政治が大事だと理解できても、どこが大事なのか、うまく言葉で表現できないのではないか」「学費が上がって、奨学金を受けても、いくつものアルバイトを掛け持ちしなければ生活できないという現状に置かれた若者が、『政治』を変えることで『本当に現状を改善できるのか』半信半疑のため、結果的に『政治に関心を持つこと』や『選挙に行くこと』からも足が遠のいてしまっている」と指摘します。

■「若者国会」で「投票に行きたいと思う仕組み」を設計する

細谷さんが所属する「ドットジェイピー」では、今月23日と24日の2日間にオンラインイベント「若者国会」を開催しました。

「若者が投票に行きたいと思う仕組みを設計する」というテーマに、若者たちが現役の市長らを交えて議論を行い、駅やショッピングモールに投票所を設置することや、アニメコンテンツを用いた啓発活動を行うなどの案が出されたということです。

こうした活動を通じ、政治について関心が高まったという細谷さんは「これからの日本を支えていくのは、われわれ若者です。自分のため、将来のためにもぜひ選挙に行ってほしい」と訴えています。