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炊き出しに列…コロナ困窮で「経済支援を」

2021年10月28日 8:54
炊き出しに列…コロナ困窮で「経済支援を」

東京では新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向ですが、公園には弁当を求める人の列ができ、焼き肉店では客足が十分に戻らないなど、コロナのダメージがなお尾を引いています。衆議院選挙が迫る中、大学生らのNPOは若者に投票を呼びかけました。

■客足戻らず牛肉高騰…不安募る

27日夜、東京・世田谷の住宅街にある焼き肉店を訪ねました。新型コロナウイルス対策の時短要請が解除され、月曜定休のこの店では26日から通常営業を再開しましたが、オーナーには心配なことがあるといいます。

「時短明けてから、そこまで変化はないかなと。すぐにコロナ前のような感じにならないんじゃないかなという不安はあります」

土日の予約は増えつつあるものの、平日の客足は戻っていないといいます。さらに頭を悩ませているのが、牛肉価格の高騰です。

オーナー
「輸入のタンは、じわじわ値上がりして、今1.5倍~2倍ぐらいの仕入れ値になっています」

佐藤梨那アナウンサー
「(メニューの)値段は変えないままですか?」

オーナー
「そうですね。(皆が)外食する気分になっているのに、ここで値上げして、ってなると…。お客さまが戻ってきてくれることを期待しています」

■安心のため…カフェ“入店不可”も

緊急事態宣言の解除で日常に戻りつつある中、独自の感染対策を徹底する店もあります。

東京・池袋のアニソンカフェでは、店員が「ワクチンパスポート、発行させていただきますね」と呼びかけていました。店独自のワクチンパスポートを配布しています。

入店する際、コロナワクチン2回接種済みを証明するか、陰性証明の提示が必要で、ない人はその場で抗原検査を受け、陰性であれば入店できます。

客は「安心して騒げる、カラオケをするとしたら、作ってもらった方がいいなと(思います)」と話しました。

――証明が必要と知らない人も来ますか?

アニソンカフェ責任者
「います。そういう時は『すみません』とお断りを。本当はそこで集客したいんですけど、安心安全を提供する場としては入店をお断りという形を今取っています。やっと歌うことができるという楽しみが、やっと戻ってきたなって感じです」

■アベノマスクなど在庫8200万枚

安倍元首相が去年、感染対策として打ち出した「アベノマスク」など、国が全世帯や介護施設などに配布した布マスクについて、大量の在庫があることが明らかになりました。

合計約2億9000万枚の布マスクを調達していましたが、約8200万枚が倉庫に保管されたままになっているといいます。金額に換算すると約115億円相当。去年8月~今年3月の保管費用は約6億円に上るといいます。

磯崎官房副長官の会見で、記者からは「調達量の3分の1と極めて多い量が残ったということについて、当時の政府の見通しの甘さを指摘する声もあります」と質問が上がりました。

磯崎副長官は「介護施設向けの配布方法が、一律の配布から希望に応じた随時配布に見直したということですので、特に問題があったとは考えておりません」と答えました。

■感染減少も…食料支援「弁当」に列

27日、東京では新たに36人の感染が確認されました。1週間前の20日より5人減り、11日連続で50人を下回りました。

感染者が減る一方で、今もなお、都内の公園には食料支援を求める多くの人の姿があります。

26日、東京・池袋の公園にいた一人暮らしの男性(30)は「炊き出し、弁当の配布に来ています。これで4回目くらいかなと思います」と言います。民間の支援団体「NPO法人 TENOHASI」による支援を利用しています。

男性は「去年仕事を辞めまして、今生活保護を受給していて、食費の節約のためにここに来た感じです」と話しました。病気で仕事を失った後、再就職を目指していますが、コロナの影響もあり簡単ではないといいます。

「去年、生活に困ったときに、給付金を受け取る前に、1週間何も食べずに過ごしたことがありました。どうにもならないという時は何か人に頼るなり、制度に頼るということをした方がいいと思います」

衆議院選挙の投票には行くという男性。政治に求めることを聞きました。

「現金給付なり、何かしら経済的な支援がまず第一ですかね。100%完全な自助でどうにかなることではなかなかないな、と。もう少し公助の部分が増えていくと、社会が全体として良い方向になっていくのかなとは思います」

■大学生ら「若者」に投票呼びかけ

投開票日が迫る中、東京・原宿では27日、カラフルな看板を持った若い人たちが歩いていました。看板は矢印の形で、「親子で投票所に入れます。」などと書かれています。東京、愛知、広島などの18団体が参加している「投票所はあっちプロジェクト」です。

メンバーが道行く人に「お姉さん、選挙って行きました?」と問いかけました。「選挙行きます、多分」と答えが返ってくると、「本当に?行きます?やったー」と声を上げました。

このNPO「iPledge」は特に若者に投票に行ってもらえるよう、呼びかけています。

岩本乃蒼アナウンサー
「けっこう皆さん、振り返ってくださいますね」

投票を呼びかける榎本楓さん(22)に、取り組みへの思いを聞きました。

「今の学生メンバーでも、『大学に入学した時から1回も学校に行けていません』とか、本当に自ら私たち自身が困っているSOSもたくさんあって」

「私たちがちゃんと政治づくりとか、社会づくりに参加をしなきゃいけなくて、少しでも『あ、投票行ってみようかな』と思ってもらえればいいなと思ってやっています」

(10月27日『news zero』より)