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東京パラ金・杉村が語る「ボッチャの魅力」

2021年10月23日 0:30
東京パラ金・杉村が語る「ボッチャの魅力」

ボッチャ日本代表のキャプテン・杉村英孝選手。今年の東京パラリンピックで、正確なコントロールを武器に日本ボッチャ史上初めて金メダルを獲得しました。その杉村選手に「news zero」の弘竜太郎アナウンサーがインタビューを行いました。

杉村選手「(東京パラリンピック後は)多くの方々に声をかけていただいたり、祝福の声をいただいて、うれしい気分に今はひたっています」

弘アナ「緊張とかそういった感覚はあったんですか」

杉村選手「自分でも驚くくらいに緊張することがなくて、大好きなボッチャを自国開催のパラリンピックという舞台で楽しむだけだなと思っていました。(取材を受ける)今の方が緊張します(笑)」

「地上のカーリング」と呼ばれるボッチャ。白い的球のジャックボールに赤・青それぞれ6球ずつのボールをどれだけ近づけられるかを競います。杉村選手は、先天性の脳性麻痺(まひ)で両手両足が自由に動きません。握力については「利き手の左手は握力が10(キロ)あるかないか。右の方はほとんどあまり使えない、多分0に近い数字だと思います」

そんな杉村選手がボッチャを始めたのは19歳の時。友人に誘われ地元・静岡で開催された大会に出場しました。「練習もほとんどせずに参加したけど、そこで3位という結果をとることができて、自分的には3位でとても悔しかった。その悔しさがあったからボッチャを続けていた」

負けず嫌いの杉村選手はどんどんボッチャにはまっていきます。2010年に初めて日本代表に選出されると、2012年にロンドンパラリンピックに初出場。日本選手権では5度優勝しています。

普段は高齢者介護の企業で働き、仕事がない日に集中して5時間ほど練習をしている杉村選手。

ボッチャの魅力を聞くと「ボッチャは『自己選択』と『自己決定』のスポーツ。日常生活ではいろんな方々のサポートがなければ生活するのは難しいんですけど、コートの上に立ったら戦うのは選手、自分ですし、自分が選択・決定する中で表現することができるというものが、ボッチャの一番の魅力」と答えました。

ボッチャは手足が全く動かないような重度の障がいを持っていてもプレーすることができます。

そのために使われるのは、「ランプ」と呼ばれる器具。

選手は高さや角度を競技パートナーに指示して調整します。その際、競技パートナーは、コートを見てはいけません。あくまでも選手の意思を投球に反映させるためです。杉村選手はボッチャについて「障がいのある私たちにとって大きな可能性を広げてくれるスポーツだと思います」と話します。誰もが楽しめるボッチャは、2017年から、健常者と障がい者が一緒に競う大会も開催されています。

実は「news zero」のキャスター陣もパラリンピックでその魅力にハマっていました。

弘アナ「zeroも番組でボッチャセットを買ったんですよ。キャスター陣でやってみて、めちゃくちゃ面白いと素直に思った」

そこで今回は、金メダリストの杉村選手に投げ方を教わります。

杉村選手「投げ方は自由なので、上から投げてもいいし、下から投げてもいい」

弘アナ「投げてみますね」(ボールはジャックボールから右にそれていく)
弘アナ「むずい!」
杉村選手「山なりに投げた方が、ボールを寄せる時は止まりやすい」

杉村選手のアドバイス通り、今度は山なりに…

弘アナ「いいかも!」
杉村選手「ナイスです!」
弘アナ「わかりやすい、アドバイスが」

そんな杉村選手には、ある必殺技が。東京パラリンピックの決勝戦でも見せた『スギムライジング』。密集するボールの上に乗せることで、どのボールよりもジャックボールに近づける技です。目の前で実際に見せていただきました。

弘アナ「よろしくお願いします!」

杉村選手から放たれたボールは、見事ジャックボールの上に!会心の『スギムライジング』が決まりました。

弘アナ「すげえ! 今のどうでした?」
杉村選手「一発で決まってよかったです」
弘アナ「表情もマスク越しに安堵(あんど)している表情が(笑)」

杉村選手は2024年に行われるパリ大会での連覇を目指し、現役を続行します。