食品やガソリンなど、さまざまなモノの価格が上がる中、今度は“薪（まき）”が高騰しています。背景には、新型コロナウイルスの感染拡大が影響していました。

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東京・品川区にある薪で火を入れる「薪火料理」を提供する店。店の自慢は、外はパリッとして中はジューシーなポークチョップです。骨つきの豪快な豚肉を、２０分かけてじっくりグリル。調理の鍵を握るのは、繊細な火加減です。

しかしいま、この薪がピンチに…。

炭火×薪火×レストランＲＩＤＥ品川天王洲店　増田和志シェフ
「だいたい１．５倍ほどですね。薪の値段が上がってきていますので、正直だいぶしんどいですね」

この店では食材の値上がりに苦慮していたところ、５月以降、薪の価格も上昇。仕入れ先を変えるなどコストを抑える工夫を続けているといいます。

一体なぜ、価格が上がっているのでしょうか？　薪を販売する会社を訪ねました。

埼京薪販売　大森秀樹代表
「薪不足と言われていまして、だいたい２０％～２５％は確実に値上がりしています」

薪が不足しているといいます。

埼京薪販売　大森秀樹代表
「キャンプ場からの注文だったり、キャンプに行かれる方の個人的なお客さまに弊社で小売りする需要が高まっています」

世界的に木材が高騰したいわゆる“ウッドショック”。その最中にコロナ禍でキャンプが人気になり、薪への需要が高まったため、供給が追いついていないことが価格上昇の原因になっているといいます。

通常、天日干しで半年以上かけて行う薪の乾燥を、この会社では乾燥機を使うことで２週間ほどに短縮。計画的に生産することで、販売価格は据え置いたままだということです。

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需要の高まりで、窃盗事件も起きています。山梨県上野原市にある、無人販売所に設置された防犯カメラの映像には、１人の人物が近づき様子をうかがうと、次々と薪を抱え車に運び込んでいく様子が映っていました。その数、２０点、１万円相当を盗んでいきました。

北都留森林組合　中田無双さん
「（薪が）売れるようになるまでは、時間も手間もものすごくかけるんですね。悔しいの一言です」

一方、お得に薪を手に入れる方法もあります。林業が盛んな、岐阜県東白川村が提供するふるさと納税の返礼品です。例えば、１万４０００円以上を寄付した場合、４０キロ分の薪を返礼品として受け取ることができます。今では…。

岐阜県東白川村役場　居石浩之さん
「２５００万円程度の寄付をいただき、その３分の１程度（が薪を選びます）」

薪を返礼品に選ぶ人が全体の３分の１と人気になり、都市部からの寄付が多いということです。