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ノーベル賞 今週“発表”期待の日本人は?

2021年10月5日 17:51
ノーベル賞 今週“発表”期待の日本人は?

今週は、ノーベル賞の受賞者が発表される週です。受賞が期待されている日本人もいますので、詳しく説明します。

    ◇

■今週、受賞者発表「ノーベル賞」とは?

発表の日程は、以下のようになっています。

4日(月)  生理学・医学賞
5日(火)  物理学賞
6日(水)  化学賞
7日(木)  文学賞
8日(金)  平和賞
11日(月) 経済学賞

そして、授賞式は12月10日ですが、今年は去年と同じく世界的に新型コロナウイルスの感染が収まっていないことから、受賞者はそれぞれの国でメダルや賞状を受けとることになります。

授賞式は毎年、「12月10日」と決まっています。なぜ、この日付なのでしょうか。この日は、ノーベル賞を作ったスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベルの命日なのです。

ノーベルは、1866年にダイナマイトを発明して大金持ちになりました。しかし、ダイナマイトは戦争で使われて、多くの人命を奪うことになり、科学者として望んでいたこととは逆の方向になりました。

そして、ノーベルは63歳で亡くなる前、遺書を書いていました。そこには以下の遺言がありました。

「財産を科学の進歩と世界の平和など5つの分野で貢献した人に、賞としてあげてほしい」

この遺言をもとに作られたのが、「ノーベル賞」です。当初は、遺言をもとに、以下の5つの部門でスタートしました。

 生理学・医学賞
 物理学賞
 化学賞
 文学賞
 平和賞

1969年に「経済学賞」が追加されました。

■「生理学・医学賞」受賞者 痛み・熱など感じる“センサー”発見

4日、発表があった生理学・医学賞では、アメリカの研究者2人が受賞者に選ばれました。どのような研究なのでしょうか。

私たちは普段、「からい」、「熱い」、「冷たい」といった感覚を当たり前のように感じています。では、どうしてそう感じるのでしょうか。人間の感覚のうち視覚、聴覚、嗅覚などは解明が進んでいましたが、温度の感覚や触れた時の感覚、触覚の研究は解明されていない最後の分野でした。

ノーベル賞を受賞した2人は、それを解明したわけです。痛みや熱などに触れた時に、細胞に備わっているセンサーが働きます。これを「受容体」といい、2人が発見しました。

選考にあたったカロリンスカ研究所は、「ヒトの感覚と外部環境がどのように関係しているかを理解する上で、重要な発見」と2人の業績を評価しています。

痛みの研究をしている富山大学の歌大介准教授は、「痛みについては、長らく分かっていないことが多い。例えば、腰痛や肩こり、がん患者が感じる痛みなどの詳しいメカニズムは分かっていない」と話しています。

今回の受容体が肩こりなどに関係あるか不明ですが、歌准教授は「受賞をきっかけに研究が進み、根本的な治療薬などの開発が期待される」と指摘しました。

■きょう「物理学賞」の発表 受賞期待の日本人は?

そして、5日は物理学賞の発表があります。これまで日本のノーベル賞受賞者は、全部で27人です。実は、このうち物理学賞の受賞は11人もいます。最も多いのが、物理学賞なのです。

今回、受賞が期待されている人を紹介します。

まず、東京大学大学院の香取秀俊教授(57)です。香取教授は極めて高い精度の原子時計、「光格子時計」を発明しました。

どれだけ精度が高いのでしょうか。現在、世界標準時計にはセシウム原子時計というものが使われていますが、「3000万年に1秒」誤差が生じてしまうものです。ところが光格子時計は「300億年に1秒」しか誤差が出ないそうです。

香取教授らの研究グループは、東京スカイツリーに光格子時計を設置して、高さ450メートルの展望台の時間が、地上よりも1日に「10億分の4秒」早く進むことを確認しました。

これは重力によって時間の進み方が違うからです。地上から離れると重力は弱くなって、時間の進みは早いです。逆に地上に近いと重力が強いので、時間はゆっくり進みます。この原理は、過去にノーベル物理学賞を受賞したアインシュタインの「相対性理論」ですが、光格子時計によってそれを実証して話題になりました。

この研究は、地殻変動の観測などへの活用が期待されています。

もう1人紹介します。理化学研究所の十倉好紀センター長(67)です。物質の性質を研究する「物性物理学」の分野で、多くの研究成果をあげています。

そのひとつが「マルチフェロイック物質」の開発です。電気と磁石の性質をあわせ持つ次世代の電子材料です。消費電力の少ない次世代メモリーなどへの応用が期待されています。

    ◇

「巨人の肩に乗る」といいますが、巨人、つまり多くの先人が積み重ねた発見があり視野が広がって、新しい発見が行われていきます。ノーベル賞の授賞式では、受賞者たちが先人の発見にどのように敬意を表しスピーチをするのかも見どころです。

(2021年10月5日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)