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「岸田さんの顔した安倍内閣」 人事に波紋

2021年10月1日 18:17
「岸田さんの顔した安倍内閣」 人事に波紋

自民党の岸田総裁が1日午後、新しい党の執行部を正式に発足させました。今回の人事をめぐっては、自民党内からも安倍前総理などに配慮しすぎではとの声があがり、波紋がひろがっています。

いよいよ新体制発足へ。1日、岸田総裁は――

自民党・岸田総裁
「新しい気持ち、強い気持ちで、これから体制づくりに臨んでいきたいと思っています」

午後、総務会で新しい執行部の顔ぶれが正式に決まりました。総務会長に、当選3回の福田達夫議員を抜擢し、改革をアピールする岸田総裁。しかし、今回の人事に色濃くにじむのが、安倍氏と麻生氏への配慮です。

党運営を取り仕切るのは、麻生派で安倍氏にも近い甘利幹事長。政策決定の責任者には、安倍氏に近い高市政調会長。一方、内閣の要となる官房長官には、安倍氏の出身派閥に所属する松野元文部科学大臣が内定。甘利氏の側近で、麻生派に所属する山際衆議院議員の入閣も固まりました。

この人事について野党からは…。

立憲民主党・安住国対委員長
「岸田さんの顔をした安倍内閣になっちゃったな」

さらに、自民党のベテラン議員が「安倍さん麻生さんに気をつかいすぎだよ。岸田カラーというより、安倍カラーだね」と述べるなど、自民党内でも波紋が広がっています。

   ◇◇◇

こうしたなか、懸念されているのが、甘利幹事長の過去の“政治とカネ”をめぐる問題。2016年に、現金授受疑惑で経済再生担当大臣を辞任した後も、説明責任を果たしていないと批判されていました。

1日の就任会見でも、この点を問われた甘利幹事長は――

自民党・甘利新幹事長
「私はこの事件に関して、事情を全く知らされていない。だから私は寝耳に水。事件がどういうものであったのか、説明責任を果たしていないっていう言葉はよく使われますけれども、強制権を持っている捜査機関が徹底して捜査した以上のことは、民間の弁護士にはそれ以上のことはできないわけでありまして、強制権を持ってるものが出した結論以上のものは出せないし」

そのうえで、辞任会見時には、最後まで質問に答えたとのべ、説明責任は果たしたとの考えを示しました。

しかし野党は、辞任後、一度も国会で説明しないまま“雲隠れ”したと批判。

立憲民主党・安住国対委員長
「秘書が受け取ったということで、自分は知らないと。それで監督責任をとって辞めたという事なんですが、事実関係について、つまびらかにしてもらう必要があると思いますので」

来週、調査チームをたちあげ、甘利幹事長の国会招致を求める方針です。

   ◇◇◇

今回の人事について、記者団の質問に答えた岸田総裁。甘利氏を幹事長に選んだ狙いについて「400人近い国会議員をしっかり束ねるために、こうした交渉力や、あるいは集約力、今までに経験された様々な力を十二分に発揮して頂ければと思います」と話しました。

そして、過去の政治とカネをめぐる問題については――

自民党・岸田総裁
「さらに国民の皆さんから疑問があったならば、ご本人がしっかり丁寧に説明をしていく。こうした姿勢は大事だと認識しております」