×

京急油壺マリンパーク 53年の歴史に幕

2021年9月30日 21:15
京急油壺マリンパーク 53年の歴史に幕

神奈川県三浦市の「京急油壺マリンパーク」が30日に閉館。53年の歴史に幕を下ろしました。

「53年間ありがとうございました」

当初の予定より1時間遅れで迎えた「別れの時」。1968年、神奈川県三浦市にオープンした「京急油壺マリンパーク」では、約400種類の生き物を展示。創業当時、“東洋一”とされた大水槽が、今も変わらぬシンボルです。

来館者(50代)
「幼稚園の時に遠足に来たり、ちょっと思い出もあるので見に来ようかって」

この53年で、のべ2400万人が訪れました。しかし、建物や設備の老朽化が激しく、維持管理が難しいことなどを理由に、今月いっぱいで閉館することになったのです。

迎えた最終日。オープン前には、別れを惜しむ100人以上が詰めかけました。

京急油壺マリンパーク 取締役営業部長・金子和久さん
「9月30日、最後の営業となります。きょう1日、皆さまどうぞごゆっくりお楽しみくださいませ」

お客さんを出迎えたのは、勤続41年になる金子和久さん。高校卒業後に入社して以来、イルカの調教などを担当。館内には、たくさんの思い出が残されています。

京急油壺マリンパーク 金子和久さん(59)
「あれがシロワニですね。(南アフリカ)ケープタウンから、飛行機に乗って空輸して、ここまで運んだ思い入れのあるサメなんです」

その後、「大水槽の主」と呼ばれるようになったシロワニ。展示されている生き物は、他の施設へ引き渡されることが決まっています。

京急油壺マリンパークの金子和久さんは、「動物から何から全部、自分の家族みたいなもの。大切な場所です」と話しました。

   ◇◇◇

一方、“特別な思い”を胸に訪れたのは、三浦市出身の森崎未来さん。

三浦市出身・森崎未来さん(36)
「なんかお父さんとの思い出の場所も、1個なくなっちゃうかと思うと、それも寂しい」

京急油壺マリンパークは、13年前に亡くなった父とよく訪れた場所。思い出を振り返るように、館内を巡りました。幼い頃から何度も見てきた、イルカショーもこれで見納め。父との思い出がよみがえり、自然と涙があふれました。

森崎未来さん(36)
「本当になくなっちゃうんだと思って、終わらないでくれと思いながら見てしまいました」

そして迎えた、最後の時。京急油壺マリンパークは、53年の歴史に幕を下ろしました。