「恒大」投資女性「返金なければ自殺する」
経営が悪化している中国の不動産大手「恒大集団」の本社前では、債権者らの抗議デモを警戒し、厳戒態勢がしかれています。1000万円以上を投資していた女性はNNNの取材に対し、「返金されなければ自殺する」などと訴えています。
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22日、深センにある中国第2の不動産会社「恒大集団」本社ビルの前には、中国公安当局の車両がずらりと並び、異様な風景が広がっていました。
さらに、ビルに出入りする人を監視する警察官の姿も。恒大集団への抗議デモの発生を警戒しているのです。
経営悪化で、およそ33兆円もの負債をかかえる恒大集団。各地で建設作業の中断が相次ぐなど、先行きに不安が広がっています。
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武漢では20日、恒大集団へ投資した人々が金融商品の返金などを求めるデモも。
返金を求めている女性が私たちの取材に応じました。女性は日本円で1000万円以上を投資したといいます。
恒大集団に投資した女性は「30万元(約500万円)の住宅ローンもまだ借りている。安定した収入もないし、返金されないなら私も娘も本当に飛び降りて自殺する」などと訴えています。
裕福ではないという女性が、投資した金額の半分は、母親の老後の資金だったといいます。
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人々の不安が広がる恒大集団の経営悪化。要因のひとつには中国政府の政策があるとみられています。
「共同富裕」をスローガンに、格差是正を掲げる習近平政権。不動産価格の高騰が国民の不満につながることを警戒し、不動産会社への資金調達を制限するなどの引き締め政策を打ち出しました。そのため、恒大集団の資金繰りが悪化したのです。
中国共産党系メディア「環球時報」の編集長は16日、恒大集団について「問題が深刻だからといって、国家が妥協して保護したりしてはいけない」と、政府の介入に否定的な見解を示しています。
こうした中、中国メディアは22日、恒大集団のグループ会社が一部の社債の利払いを実行する方針を示したと報じました。
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報道を受け、上海の株式市場は22日、前日より値を上げて取引を終えましたが、日経平均株価は値を下げるなど、懸念の払拭には至っていません。
日本銀行の黒田総裁は「株式市場中心に、国際金融市場で神経質な動きが見られている。(恒大集団の問題が)国際金融市場に及ぼす影響も含めて、引き続き状況を注視して参りたい」と述べました。
しかし、恒大集団は、23日以降もほかの利払いが相次いで期日を迎える予定で、債務不履行の懸念がくすぶりつづけています。