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日本の「鯨」食文化を広げる試み

2021年9月19日 13:10
日本の「鯨」食文化を広げる試み

日本で商業捕鯨が再開されて2年あまり。鯨肉のおいしさを知ってほしいと業界団体がある試みを行いました。

今月、東京・お台場に着港した捕鯨船。運んできたのは岩手県沖でとれたニタリ鯨の生肉です。普段は冷凍した状態で出荷されるニタリ鯨。特殊な技術を使いおよそ40年ぶりに生の状態で東京の市場に運ばれました。

1960年代。日本では、年間20万トンを超える鯨の肉が食べられていました。しかし、その後絶滅の危機にあるとして国際機関が食用の捕鯨を禁止。政府は、捕鯨を禁止する科学的な根拠がないとして、2年前に国際機関を脱退。独自に設けた厳しい漁獲枠のなかで食用の捕鯨を再開しました。

共同船舶・所英樹社長「消費者の方を味方につけるということが、鯨の食文化を持続させるための唯一の方法だと思っています」

生のニタリ鯨は都内の鮮魚店に。店では日本の食文化を守ろうと50年以上、毎日鯨の肉を並べているといいます。

一方、こちらは鯨のコース料理を提供するイタリアンレストラン。おいしさを知ってもらおうと最高級とされる尾っぽの生肉をカルパッチョにして、ランチを食べにきた客にふるまいました。

客「これが鯨なの?」「すごいね」「祖父とかから、『昔は食べたんだよ』みたいな話とか結構きいたんですけど、くさみもないしやわらかいし、こんなにおいしいんだってちょっとびっくり」

水産庁は今行っている調査に基づき3年後に鯨の漁獲枠を見直すとしています。海の生態系を守りながら、日本の食文化を継承できるのか、漁業関係者の取り組みは道半ばです。