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3回目接種、日本でも議論 効果と必要性は

2021年9月17日 18:14
3回目接種、日本でも議論 効果と必要性は

新型コロナウイルスワクチンの有効性アップを狙った3回目の接種について、日本でも本格的な議論が始まりました。3回目の接種はどこまで効果があるのか、本当にいま必要なのか、海外の事例も含めて詳しく説明します。

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最新の感染状況ですが、16日、東京の新たな感染者は831人確認され、25日連続で、前の週の同じ曜日を下回って、減少傾向となっています。3週間前の先月26日は4704人だったので、大幅に減りました。

18日から3連休、シルバーウイークで、来週は祝日も多いです。連休を前に小池都知事は17日午後2時すぎ、シルバーウイーク期間中、不要不急の外出や旅行を控えるよう呼びかけました。

小池都知事
「シルバーウイーク、どうぞこの間の行動にもそれぞれ感染症のことを考えて、行動していただければと思います」

■専門家会議「ブースター接種」議論…必要性認める

そして、17日はワクチンに関しても新たな議論がありました。

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
「本日は、交互接種や3回目接種等について、できれば本日一定の方向性をお示しいただけたらと考えております」

17日、開かれた専門家によるワクチン分科会では、ワクチンの交互接種、つまり、1回目をファイザー製ワクチン、2回目をモデルナ製ワクチンなど種類が異なるワクチンを接種することについて議論されました。例えば、1回目のワクチンで重篤な副反応が出た人などに、交互接種が認められました。

そして、3回目のワクチン接種いわゆる「ブースター接種」についても話し合われました。厚労省の案では、国内外の感染動向やワクチン効果の持続期間などから接種を行う必要があるとしていて、17日の分科会でも認められました。

接種の間隔については、2回目の接種が終わってからおおむね「8か月以上後」で、使用するワクチンについては、1回目と2回目に接種したものと「同じワクチン」を使用することを基本として、検討を進めるとしています。

実際、ワクチンを接種した後、発症や重症化を抑える抗体の量がどのように推移したかのデータも示されています。藤田医科大学は、ファイザーのワクチンを接種した職員209人について、抗体の量を調べました。

その結果、1回目接種後の抗体の量は平均で11.8、2回目の接種後は245.4と、大きく上昇しました。ただ、1回目を接種した3か月後には、65.9と4分の1に減っていました。これは従来株に対する抗体の量を調べたもので、デルタ株に対する抗体は、これよりもさらに減る可能性があるということです。

ただ、調査した土井洋平教授によると、「2回の接種で得られる抗体は、減少しても感染で得られる抗体よりも十分に多い」ということで、「ワクチン接種の意義はある」と強調しています。

■“3回目接種”感染リスク「11分の1」…研究結果

海外では、すでに3回目の接種を始めているところもあります。

イギリスでは日本時間の17日、冬場の感染再拡大に備えて、医療従事者のほか、50代以上や基礎疾患がある人などおよそ3000万人を対象に、3回目の接種が始まりました。

イギリスのほかにもヨーロッパでは、すでにフランスやドイツで3回目の接種が始まっていて、16日には新たにスペインが重症化リスクの高い人などに3回目の接種を行うことを表明するなど、3回目接種の動きが加速しています。

やはり3回目、ブースター接種をすると、感染するリスクは下がるということなのでしょうか。どれくらい効果があるかについて、世界最速のペースでワクチン接種が進んだイスラエルの研究結果が発表されました。

イスラエルでは、2回目の接種から5か月が経過した60歳以上の高齢者を対象に、7月末からブースター接種が始まっています。対象年齢はだんだんと引き下げられ、先月24日には30歳以上になり、現在は12歳以上の人に対してブースター接種が行われています。

今回、イスラエルの研究チームが、ファイザーのワクチン接種を完了した60歳以上の住民10万人余りを対象に調べたところ、3回目の接種を受けたグループは、2回接種のグループと比べて、感染するリスクが「11分の1」に、重症化するリスクは「20分の1」に低下したということです。

■ワクチン格差広がる…「ブースター接種必要ない」見解も

日本でも、まだ2回目を打っていない人もいます。また、接種が進んでいない国もあります。

WHO(=世界保健機関)のテドロス事務局長は8日、先進国によるブースター接種推進で、発展途上国へのワクチン供給が不足するとして、先進国に対しては年内のブースター接種を控えるように呼びかけています。

実際、日本や欧米諸国では、国民の5割が接種を完了していますが、アフリカなどでは、いまだに接種が完了した人は3%ほどというところもあり、ワクチン格差が広がっています。

さらに、3回目の接種をしなくても重症化などを抑える効果は十分あるとして、「免疫力が低い人などを除いてブースター接種は必要ない」という専門家も多いです。アメリカのFDA(=食品医薬品局)も「一般の人にブースター接種は必要ない」との見解を示しています。

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時間の経過とともにワクチンの効果が少しずつ下がっていく、とのデータを紹介しました。だからといって、ワクチンを接種する意味がなくなるわけではなく、重症化や死亡のリスクは抑えられることがわかっています。3回目をめぐる議論が始まっていますが、まずは1人でも多くの人が2回の接種を完了する、このことを早く実現することが、社会全体の感染抑止につながるのではないでしょうか。

(2021年9月17日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)