×

ワクチンの効果は 接種2回で“緩和案”も

2021年9月9日 20:02
ワクチンの効果は 接種2回で“緩和案”も

政府は、新型コロナウイルスのワクチン接種やPCRなどの検査の陰性証明があれば、11月ごろをめどに、会食や旅行などの行動制限を緩和する案をまとめました。私たちの日常生活がどう変わっていくのか詳しくお伝えします。

 ◇◇◇

■19都道府県で“宣言”延長へ

現在、緊急事態宣言が出ているのは、北海道、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、三重、京都、滋賀、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄、宮城、岡山の21の都道府県です。また、まん延防止等重点措置が適用されているのは、福島、石川、香川、熊本、宮崎、鹿児島、富山、山梨、愛媛、高知、佐賀、長崎の12の県です。

政府の案では、宣言が出ている地域の中でも、北海道や首都圏、関西圏などの19の都道府県は宣言を延長して、宮城と岡山は13日から、まん延防止に移行します。

そして、まん延防止が適用されている地域では、福島、石川など6つの県は延長し、富山、山梨などの6県については12日までで解除する方針です。延長の期間は今月末までです。政府の分科会の尾身会長は次のように指摘しました。

尾身茂会長「新規感染者についても重要だけど、医療のひっ迫を軽減していくことが重要だ。ワクチンを今まで通り勢いを止めないでやってくれて、必要なところには集中的にやることも考えていただきたい」

■大規模イベントや旅行の“緩和案”は

宣言の延長の一方で、政府は、将来的な行動制限の緩和などを盛り込んだ案をまとめました。

詳しくみていきますと、ワクチンを2回接種した証明書やPCRなどの検査の陰性証明があれば、ワクチン接種が広く行き渡る11月ごろをめどに行動制限を緩和していく方針です。

大規模イベントは、QRコードによる濃厚接触者の追跡など、感染対策をとれば宣言地域では上限5000人の人数制限を緩和したり、宣言などが出ていない地域では制限を撤廃したりするとしています。

旅行など県をまたぐ移動は、宣言が出されている地域でも、ワクチン接種が終わっていれば原則として認めます。

学校の部活動や課外活動も可能にするということです。

■会食や飲食店の“緩和案”は

会食については現在、人数制限は4人までとしていますが、これを緩和するとしています。さらに、感染対策に取り組んでいれば飲食店に酒類の提供を認めたり、営業時間の制限を緩めたりします。

ただ、9日の政府の分科会では、宣言が出されている地域については、酒類の提供を一部認めるといった案は当面、適用しない方針です。このように日常生活が戻ってくる道筋がみえてきました。

ただ、感染が急拡大し医療提供体制のひっ迫が見込まれる場合は、再び行動制限を強めるとしています。

■ワクチン接種が感染防ぐ効果は

現在のワクチン接種の状況がどうなっているのかをみてみますと、8日の公表時点で、全人口で1回目の接種を終えた人は60.9%、2回目を終えた人は49.0%となっています。

ワクチン接種の効果について、8日に開かれた厚生労働省の専門家会議で、接種をすることでどれくらいの感染が抑えられているのか、具体的なデータが発表されました。

それによると、今月1日から3日のすべての年齢の新規感染者のうち、感染者の情報共有を行う「HER-SYS」に登録されている4万2125人をみてみますと、感染者の約79%となる3万3360人はワクチンを接種していない人たちでした。

そして、1回接種していた感染者は約7%、2回接種していた感染者は約6%でした。ワクチンを接種した人で、感染した人は少ないということがわかります。

■ワクチン接種で高齢者の感染は抑えられたのか

さらに、現在、65歳以上の高齢者は9割近くが2回の接種を終えているのですが、ワクチン接種によって高齢者の感染がどれくらい抑えられたのかの試算も発表されました。

厚生労働省は、65歳未満の感染者の増加率をもとに、もし高齢者のワクチン接種が進まなかった場合はどうなっていたかを推計しました。

7月と8月の65歳以上の感染者は3万63人。これが、ワクチン接種が進まなかった場合は、感染者は13万7830人になっていたということです。つまり、ワクチンの接種で10万7000人以上の高齢者の感染を抑えた可能性があるということです。

次に、死者数はどうなっていたのかをみてみますと、7月と8月の高齢者の死者数は870人で、ワクチン接種が進まなかった場合の推計は9312人になっていたということです。つまり8000人以上の高齢者の死亡を抑えた可能性があるとしています。

 ◇◇◇

ワクチンがある程度行き渡ったあとの社会のあり方について、政府の提言案をご紹介しましたが、今これを示すことには専門家からも間違ったメッセージや、ミスリードにならないかと危惧する声があがっています。

今はあくまでも感染対策とワクチンの普及に全力をあげつつ、その先にみえる希望の光と捉えて、今を乗り切るための活力源にしたいですね。

(2021年9月9日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)