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期限まで4日 宣言延長へ…解除の新基準は

2021年9月8日 20:30
期限まで4日 宣言延長へ…解除の新基準は

緊急事態宣言の期限まで、あと4日となりました。宣言解除の基準や「ワクチン接種証明」の活用方法など、詳しい内容がわかりましたのでお伝えします。

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■緊急事態宣言の延長 9日決定へ

緊急事態宣言が出されているのは東京などの首都圏や大阪、福岡などの21都道府県です。また、まん延防止等重点措置が出されているのは12県です。いずれも期限は12日までとなっています。

政府は、首都圏の4都県を病床のひっ迫状況などから緊急事態宣言を延長する方向で調整しています。愛知など東海3県と、大阪など関西3府県も延長を検討しています。延長期間は、2週間から3週間程度となる見通しです。

■緊急事態宣言「解除」の新たな基準は

こうした中、8日、分科会が開かれ、専門家らが宣言解除の基準について提言をとりまとめました。

政府分科会・尾身会長「(“宣言”解除の基準について)新規の感染者数の増減を考慮することは当然ですけど、それ以上に、この医療のひっ迫の状況を重視することに今回合意をいたしました」

その内容は、宣言解除については、「新規陽性者の数が2週間ほど継続して安定的に下降傾向にあること」が前提となっています。

今回はより医療のひっ迫度を重視することになりました。具体的には、「全体の病床使用率と重症患者向けの病床使用率が50%未満」、さらに、「自宅療養者の数と療養などを調整している人数が、大都市では10万人あたり60人程度に向かって減少していること」も求められます。

例えば6日時点の数値ですと、東京の病床使用率は全体が66%、重症が国の基準で95%となっていて、10万人あたりの自宅療養者や調整している人は、7日は122人となっています。宣言解除には、ほど遠く厳しい状況が続いていることがわかります。

■東京の「自宅療養者」8月に急増

東京では新型コロナウイルスの感染者が7日まで16日連続で、前の週の同じ曜日の人数を下回っていましたが、依然、自宅療養中に亡くなる方が相次いでいます。

7日は新たに16人が亡くなったことが確認されましたが、このうち2人が自宅療養中でした。

1人は40代の男性です。軽症とされて、先月30日には熱が下がり回復傾向とみられていましたが、先月31日に親族が自宅を訪問したところ、亡くなっていました。脳と肥満の基礎疾患があり、ワクチン接種はしていなかったということです。

もう1人は80代の女性です。無症状でしたが、先月30日に亡くなっているところを発見されました。

こうした中、東京都7日、が新たなデータを公表しました。

東京都内で、去年12月から先月までの間、自宅療養中の死者は68人でした。このうち高齢者施設を自宅としている入所者を除きますと、32人が亡くなっています。

この32人の方が、いつ亡くなったのかの人数を月別で見てみますと、21人が先月に集中していることがわかります。第5波の医療体制のひっ迫が影響した可能性があります。先月の21人のうち、およそ6割は50代以下だったということです。

■感染が拡大したのはどんな場所か

東京の施設別で、3人以上の感染者の発生件数を見てみます。施設の種類を、第3波の1月と第5波の7月で比べてみますと、発生件数はそれほど大きな差はありませんが、施設別で見ると大きな違いがわかります。

「飲食店」は6件から23件に、「企業」は22件から117件、「学校」は22件から56件に大きく増えました。私たちの生活に身近な施設で増えています。

一方、「医療機関」は、1月は56件でしたが、7月は5件と大きく減っていて、ワクチン接種の効果とみられています。

■「ワクチン接種証明」の活用方法は

一方、8日の分科会では、秋以降の生活に関わることも話し合われました。それがワクチン接種証明の活用方法です。西村大臣は次のように述べました。

西村経済再生相「年内にはスマホに搭載する電子交付を開始するとして、検討を進めているところです。さらに利用が広がることが想定されます」

年内にもワクチン接種証明のオンライン発行が可能になるので、国内で活用できる環境が整うと言われています。

「どういう場合に接種証明を活用するか」も議論されました。政府の原案では、店舗やイベント会場など感染リスクの高い場所に入る時に、条件として接種証明の提示を求めることも可能だとしています。

病気などの理由でワクチンを接種できない人もいます。その際は、「PCR検査の陰性証明など、代わりの手段を用意することも重要」としています。

一方で、ワクチン接種は任意です。接種していないことを理由に解雇や退職を勧めること、また就職や入学などにワクチン接種を条件とすることは、「不当な差別にあたる可能性が高い」としています。こういう視点も今後、重要になってきます。

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緊急事態宣言が繰り返されて、日常生活への影響が長引いています。秋以降の行動制限の緩和への議論が始まっていますが、ワクチンの接種状況や、これまでに得られた科学的なデータを踏まえて慎重に検討してほしいところです。

(2021年9月8日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)