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森田芳光監督のノートに記されていたのは…

2021年9月5日 17:38
森田芳光監督のノートに記されていたのは…

2011年12月20日に61歳で亡くなった映画監督、森田芳光さんの作品の特集上映企画が9月4日夜、東京・渋谷のユーロスペースでスタート。森田監督の妻で映画プロデューサーの三沢和子さんと、監督の熱狂的ファンとして知られるラッパーのライムスター宇多丸さんがトークイベントを行いました。

プロジェクト「森田芳光70祭(ななじゅっさい)」の一環で、同プロジェクトは生誕70周年記念企画として昨年始動する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていました。

初日は8ミリフィルムの初期作品『映画』『工場地帯』が上映され、三沢さんは「こういう時代の映画がどう受け止められるか分からないけど、映画を作られる方は、若いうちは個性を持ってやられたらいいかな、というのが今回(森田監督の作品を)見ていただきたい一番の理由です」と映画制作を志す若者に呼びかけました。

森田監督は1950年1月25日生まれで、日本大学芸術学部放送学科に進学後、自主映画製作を開始。1981年に若い落語家を主人公にした『の・ようなもの』で長編映画監督デビューしました。1983年には松田優作さんの主演作『家族ゲーム』で数々の映画賞を受賞し、その後も『メイン・テーマ』『失楽園』など数多くの名作や話題作を世に送り出しました。

三沢さんは森田監督がつけていた大学ノートの存在を明かし、「ギャグだけ1000書くとか、カメラワークだけ500とか。きっと実現するビジネス(のページ)がすごくて、ホントに今、ビジネスになっているものがいっぱいあるんです。立ち飲みワインバー女の子だけ、とかね。(書いたのは)50年前ですから。監督になって、それを参考にしているわけではないんですけど、たぶんそれが本人のモチベーションだったのか、ですね」と語りました。

『生誕70周年記念 森田芳光 全監督作品コンプリート(の・ようなもの)Blu ray BOX』(完全限定版)が、12月20日にリリースされます。

三沢さんは監督の作品をデジタル化することについて「(このままだと)8ミリ(フィルムの作品)は劣化してダメになっていくだけなんですね。フィルムは全部、国立(映画)アーカイブに寄贈することにして。ブルーレイにも焼いたんです、とにかく保存しなきゃいけないと思って。『の・ようなもの』『僕達急行 A列車で行こう』も今回デジタル化して、8ミリ(の作品)もやりました」と明かしました。