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接種証明で宴会OK? 尾身会長「議論を」

2021年9月4日 12:31
接種証明で宴会OK? 尾身会長「議論を」

政府分科会の尾身会長は3日、新型コロナウイルスワクチン接種証明や検査による陰性で、宴会や旅行、大規模イベントなどの自粛を解く案を示し、議論を呼びかけました。一方、在宅診療で赤字の医療法人社団は、クラウドファンディングに踏み切りました。


■制限なしの営業「1度もなし」

3日、東京・中野区にある日本酒バルを訪ねました。要請に従って、アルコールなしの午後8時までの時短営業をしています。店内の客は少人数でした。

岩本乃蒼アナウンサー
「皆さん、外食は減っているのでしょうか?」

日本酒バル社長
「減っていると思いますね。家の中での食事の仕方なんかも、皆さんこの1年半でうまくなられたでしょうし」

今年に入ってから、都内の飲食店は「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」、都の時短要請などで、制限なく営業できた日は1度もありません。

一方で要請に従わない東京・渋谷区の店では、客が順番待ちをしていました。多くの若者らのグループが会食していました。これが“自粛破り”ではなくなり、日常になる日はいつ来るのでしょうか。


■提言「国民的議論のキックオフ」

「ワクチン接種が進む中で、日常生活はどのように変わり得るか」

政府分科会の尾身会長は3日、こう話し、ワクチンの接種歴か、検査結果が陰性であることを示せば、「人に感染させるリスクが低い」とみなす「ワクチン・検査パッケージ」を提言しました。これによって、私たちができるようになることの案を示しました。

今は自粛するよう求められている「大人数での会食や宴会」や、「県境を越える出張や旅行」「全国から人が集まるような大規模イベント」などを認めるほか、自粛されてきた大学での対面授業なども含まれています。

尾身会長は「国民的議論のキックオフ。これで今日、決まったわけではない」と強調し、議論を呼びかけました。

希望者にワクチンが行き渡る11月ごろを念頭に、今後、一般市民が参加して議論する場をつくるよう、政府に要望したといいます。


■飲食店「やっと光見えた」歓迎

この提言への受け止めを飲食店に聞きました。

要請を守っている都内のやきとん店
「先が見えることは、すごい嬉しいことですよね。なんとかやっと、先の光が見えてきたという感じがしますし、ワクチン接種した人だけでも大人数で飲んでもいいとか、忘年会とかできるようになればいいのかなと」

岩本アナウンサーが訪ねた日本酒バルの社長は、客のワクチン接種が進むことを歓迎する一方で「この店もそうですし、新しい店をつくっていますが、そちらも基本的にはお2人様とか少人数中心の店づくりに今、しておりますね」

コロナ前からは、店づくりも変わったといいます。また、「客も店も、大人数で飲んでいた頃には戻らないのでは」と話しました。


■売り上げ90%減…屋形船「期待」

東京・渋谷で街の人にも聞きました。

まだワクチン接種していない会社員(20代)
「早く(ワクチン)打って『もういいよ』ってなるなら遊びたいです。自分は」

2回接種済みの看護師(20代)
「旅行行きたい人とかも、我慢してる人も多いだろうし、普通に飲みに行きたい人も多いと思うので、そうなってくれればワクチン打つ人は増えてきそうな気がします」

屋形船の関係者は期待しています。

「屋形船 晴海屋」によると、通常は一隻で100人ほどの客が宴会していました。現在は宴会ができないため、売り上げは、コロナ前に比べると90%減といいいます。

社長
「宴会と、旅行と、大型のイベントに対して行動制限の緩和がされるということに、大変期待しております。12月には忘年会がありますし、ゆっくりと回復していくことによって、春の花見からスタートできればなと」


■自宅で死亡…東京感染2500人超

東京では3日、新たに2539人の感染が確認されました。1週間前の8月27日は4227人で、12日連続で前の週の同じ曜日の人数を下回りました。

3日死亡が報告された50代の女性は、軽症と診断されて自宅療養をしていましたが、陽性判明から4日目に親族が家を訪ねると、亡くなっていたといいます。

全国の感染者は1万6739人で、厚生労働省によると2日時点の重症者は2221人で過去最多を更新しています。


■クラファン決断…訪問診療「赤字」

医療法人社団「悠翔会」が担う訪問診療。往診先では、一人暮らしをしている50代男性患者が「先が見えないというか、ずっと熱が下がらなかったので」と言いました。別の家ではせき込む女性に、医師が肺炎の初見を示し、自宅で酸素吸入ができる「酸素濃縮器」の使い方を、女性と夫に教えました。

自宅療養者を支える在宅診療ですが、非常に厳しい運営状態に置かれているといいます。24時間の電話診療の対応など、医師や看護師の人件費が多くかかり、コロナ患者への往診に診療報酬の加算などがあるものの、運営は赤字です。

そのため3日、クラウドファンディングで支援を呼びかけました。

悠翔会・佐々木淳理事長
「コロナの第5波が過ぎ去るまで、この(診療の)仕組みが動かせるように今回、皆様にはご支援をお願いしたいと(思います)」

(9月3日『news zero』より)