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「国民の命と暮らし」連呼…菅政権の1年は

2021年9月4日 11:55
「国民の命と暮らし」連呼…菅政権の1年は

菅首相が3日、自民党総裁選への不出馬を表明しました。「国民の命と暮らしを守る」と繰り返すも、新型コロナウイルスの感染は収束が見通せないまま。五輪やコロナ対策では多くの指摘や賛否が渦巻き、支持率は発足当初の半分に。この1年を振り返りました。


■“たたき上げ”規制改革を推進

2020年9月、首相指名選挙。

「菅義偉君を、内閣総理大臣に指名することに決まりました」

自民党の総裁選に圧勝し、菅氏が第99代首相に就任しました。

就任会見では「この危機を乗り越えて、全ての全国民の皆様が安心して生活を取り戻すことができるためには、安倍政権が進めてきた取り組みをしっかり継承して、そして前に進めていく」「国民のために働く内閣」と述べました。

菅内閣は74%という高い支持率で発足しました。町工場や民間企業で勤めた後、横浜市議などをへて国会議員になった菅首相。たたき上げの首相として、デジタル庁の創設などの規制改革を推し進めてきました。

ニコニコ生放送では「皆さんこんにちは。ガースーです。どうぞよろしくお願い申し上げます」と笑顔を見せ、話題になりました。


■「GoTo」混乱で支持率急落

この1年繰り返してきたのは、「国民の命と健康を守る」という言葉です。最優先の課題として、新型コロナウイルス対策に取り組んできましたが、2020年12月下旬に世論調査で支持率が大きく落ち込みました。

その直前に、感染状況の悪化を受け、菅首相肝いりで進めてきた「GoToトラベル」を全国一斉に一時停止することを表明していました。

その後も第3波、第4波と感染の波は収まらず、緊急事態宣言を繰り返し、9月に入ってもその真っただ中です。


■「切り札」ワクチンで評価も

一方、大阪の吉村知事は3日、コロナワクチンについて評価しました。「菅首相の判断で、当時いろんな批判もありましたけど、大きく結果が変わったところではないか」と述べました。

ワクチン接種は、菅首相が切り札として積極的に進めてきました。6月には「(10月から11月にかけては)必要な国民、希望する方全てを終える」と表明。最新の接種率は47.1%(2回接種完了、首相官邸HPより)で、世界平均の約27%(Our World in Dataより)を上回り、一定の成果を見せています。


■専門家と足並みに「ズレ」

開催の是非が度々議論された東京オリンピック・パラリンピックについては、「人類がウイルスに打ち勝った証として東京大会の開催を実現をする決意」と語っていましたが、ウイルスに打ち勝つ前に行いました。

コロナ対策をめぐっては、何度も、政府と専門家の足並みのズレが見られることもありました。

入院対象者を絞り込む政府の方針をめぐっては、菅首相は「それ(重症患者)以外の方は自宅での療養を基本として…」と述べましたが、政府分科会の尾身会長は「この件に関しては特に相談というか議論したことはございません」と明らかにしました。

また、言い間違えることや、記者からリーダーとしての発信力のなさを指摘されることもありました。「感染拡大を最優先に…」と話す場面もありました。

コロナ収束の兆しは見えず、支持率の低迷も続いていた菅首相。3日になり突然、総裁選への立候補をしないと表明することになりました。

(9月3日『news zero』より)