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ワクチン後の脇下の腫れ「自然にひく」医師

2021年8月27日 21:14
ワクチン後の脇下の腫れ「自然にひく」医師

新型コロナの疑問に答えたい!「ワクチン接種後、脇の下やリンパ節が腫れることがあります」新型コロナの診療に従事。千葉大学病院次世代医療構想センター岡田玲緒奈特任助教に聞きました。

■ワクチン接種後、リンパ節が腫れることがある

――ワクチン接種後、脇の下の腫れが気になるという人がいます。

新型コロナウイルスのファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチン接種で、接種部位の近く、脇の下や、首のリンパ節が腫れることが知られています。

――リンパ節とは?

リンパ節というのは、リンパ管という身体中に張り巡らされた細い管の途中途中にある小さな塊で、免疫システムの基地や駅のようなものです。元々リンパ節が多くあって、表面からも触れられる場所は首、脇の下、鼠径部、つまり足の付け根に当たるところです。

――よくなりますか?

このリンパ節の腫れは時間の経過とともに、自然にひいていきます。しかし、ワクチン接種後、数週間続くこともあります。少し長くなることもあると前もって知っておくと安心でしょう。

※日本乳癌検診学会によると、脇のリンパ節の腫れは最長ワクチン接種後10週間後まで持続したケースもあり、接種後早くて1~2日で接種側で発症するということです。

――痛みが伴うことも

比較的からだの深い場所のリンパ節が腫れると、表面から触ってもよくわからず、脇や首が何となく痛いという自覚症状になる可能性もあります。

――頻度は?

大規模な臨床試験では、リンパ節の腫れはファイザー社製で0.3%、モデルナ社製の接種で1.1%報告されています。モデルナ社製については、脇の下の痛みや腫れ、という項目もあり、これは10.2%の方にありました。

※厚生労働省によると、国の研究班が行ったワクチン接種後の健康状況調査でも、ファイザー社のワクチン接種後に脇の下のリンパ節腫大を含む反応性リンパ節の腫れが2%程度報告されています。

■原因と対処法は

――原因は?

病原体ないしワクチンによる抗原(免疫反応のターゲットになる病原体のパーツ)が体内に入ると、近くのリンパ節でその抗原を攻撃するのに適した免疫細胞が増殖します。これがリンパ節の腫れにつながります。炎症を起こす物質も盛んに行き交うため、これにより痛みなどが生じます。

――痛い時は我慢した方がよいですか?

痛みや腫れが強い場合は、痛み止めのアセトアミノフェン等を使ってもかまいません。強い痛みが続く場合などは医療機関の受診も検討してください。

ーー2回目の接種に影響は?

2回目の接種に影響はありません。腫れが残っているようならば反対側に接種してもよいですが、こうした対応につき特に統一見解のようなものはありません。

■画像検査や検診時に注意が必要です

ーー注意した方がよい点は?

何か基礎疾患などがあって画像検査を予定している場合などは、リンパ節の腫れが元の疾患が悪化したことによるものなどと間違えられる可能性もあるので注意が必要です。主治医と相談して前もって接種と検査のタイミングを調整しておくとよいでしょう。

※厚生労働省は乳がん検診で誤った判定がなされないよう、「検診の際にワクチン接種を伝えるとよいでしょう」としています。日本乳癌検診学会は、「検診としてのマンモグラフィーや乳房超音波検査はワクチン接種前に行うか、2回目のワクチン接種後少なくとも6~10週間の間隔を置いてから受けることが望ましい」としています。

岡田玲緒奈医師:千葉大学医学部卒小児科専門医。2019年8月~千葉大学病院次世代医療構想センター特任助教