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19歳義足のモデル・パラ開会「夢叶った」

2021年8月27日 20:47
19歳義足のモデル・パラ開会「夢叶った」

東京パラリンピック開会式では、義足のモデル・海音さん(19)が出演しました。12歳で右足を切断し、一時は義足を隠して引きこもる日々を過ごしていた海音さん。どんな思いだったのでしょう。「news every.」小西美穂キャスターが聞きました。

■楽しすぎて、終わった実感がない

――開会式のご出演、おめでとうございました。舞台上のはじける笑顔がとっても印象的でした。大舞台でさぞかし緊張したのではないですか?

ありがとうございます!でもそれが、緊張がまったくなかったんです。終わったことさえ、まだ実感がないくらい(笑)。すごく楽しかったし、終わったら仲良くなったパフォーマーのみんなとバラバラになるのがさみしいなぁって思いました。

■ど派手なギャル役「知らなかった」

――あの舞台で緊張しなかったなんて、すごい度胸!海音さんは根っからステージの仕事に向いていますね。あのピンクの衣装も、とびきり似合っていましたよ。

あの衣装はデザイナーさんが、「海音のイメージで」って、一から考えてくれたんです。真っピンクで、ミニスカートも袖のふわふわも、めちゃめちゃかわいくて、本当にどストライクで。すごいテンションが上がりました。

――胸元に大きな丸い物体がついていたんですが、あれは何?

あれはライトで、あそこから光が出てました(笑)。

――組織委員会資料によると海音さんの役は、「ショッキングピンクのド派手なギャルの乗り物」だと。

えっ、そうだったんですか?なんにも言われていなかったです(笑)。モデルやアイドルの“ふわふわしたかわいい感じ”で踊ってほしいって。それだけ言われたので。

――あら、そうだったんですね。でも十分演じ切っていましたよ。踊っているときは、どんな気持ちでしたか?

何度もリハーサルで見てきたのに、本番で片翼の飛行機が無事に飛べる姿を見て「ああ、飛べてよかった!」って、めっちゃ思いました。

■自信がつき、ミニスカートはけるように

<海音さんは5歳からキッズモデルとして芸能活動をはじめ、10歳からはアイドルグループにも所属していました。しかし、12歳の時、血管が炎症を起こす難病を発症。右足の壊死(えし)が始まり、膝から下を切断しました。一時はモデルの活動を諦めていましたが、義足を公表して2020年に再デビューを果たしました>

――去年、どんな思いでデビューしましたか?

義足は恥ずかしいものではなくて、かっこいいものだったり、憧れの存在にしたいなって思って、ファッションショーに出ようと思いました。

――義足のモデルとして再デビューして1年。いろんな変化があったのではないですか?

自分にすごい自信ができました。いままでは(義足を)隠していた生活だったので、おどおどしていてミニスカートもはいたことがなかったんです。デニムとか透けない生地の、義足とはわからない服を着ていました。でもいまは、好きなミニスカートも「これかわいい!」と思ったら買うようになりました。

■パラ開会式は義足デビュー前の夢だった

――今回の開会式に海音さんが出演したことで、本当に多くの人が元気づけられたと思います。

義足でデビューする前に、「デビューしたら開会式に絶対出たい」と思っていたんです。だから夢が叶ってうれしいです。昔は人と違うところがすごい嫌だったけど、今は義足は自分にしかない個性だから、個性としてかっこよく生きていきたいなって思っています。

――自信がもてない人も大勢います。なにかメッセージはありますか?

私も夢を諦めようと思ったんです。でも、自分がしたい夢だったら諦められないと思うので。障害がある、ないにかかわらず、自分がしたいように生きていったらいいと思います。自分自身のままでいて、キラキラしていたら、それが伝わると思うんです。これからは世界で活躍できるモデルになって、見てもらっている人に少しでも勇気を与えられる存在になりたいと思っています。

■海音(あまね)

大阪府大阪市生まれ。5歳からキッズモデルとして活躍し、10歳からはアイドルグループにも所属。12歳で多発血管炎性肉芽腫症を発症し右足を切断。義肢装具士やカメラマンとの出会いを経て再びモデルの道へ。2020年にファッションショーに参加。

■聞き手・文 小西美穂(こにし・みほ)日本テレビ報道局解説委員・「news every.」キャスター

写真:モデル海音さん(左)小西美穂キャスター(右)