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接種率↑へ強制的措置相次ぐ…論争も 中国

2021年8月26日 13:03

中国ではワクチン接種率を高めるため強制的な措置を取る地方都市が相次いでいて、「親がワクチンを打たなければその子どもは学校に入学できない」との措置などをめぐり、論争が起きています。

厳格な移動制限や大規模なPCR検査などで感染者を抑え込む「ゼロコロナ政策」を続ける中国では、国産ワクチンの接種が急激に進められています。

基本的には「自由意思での接種」とされていますが、一部では強制的な手法が出てきていて、人口60万人あまりの中国・河南省正陽県は今月23日、小学生や中学生が入学する際に「親や祖父母、および一緒に住む親戚のワクチン接種証明を提示しない限り入学させない、あるいは入学を遅らせる」との措置を発表しました。

子どもを利用して保護者らのワクチン接種を強制する手法で、県は「小さな手が大きな手をひく活動」と名付けましたが、ネット上では批判が相次ぎました。

中国国営メディアも「個人の意思を尊重しないだけでなく、子どもが教育を受ける基本的な権利も侵害している。許されることではない」などと痛烈に批判すると、結局、正陽県は発表から2日後の今月25日、措置の撤回を発表しました。

一方、江西省の省都・南昌市は「ワクチンを打たずに新型コロナに感染した場合、責任を追及する」と発表したほか、安徽省の省都・合肥市は「駅やスーパー、レストランなど公共の場所に入る際はワクチンの接種証明が必要」と発表するなど、地方都市がワクチン接種を半ば強制する施策を相次いで打ち出しています。

中国では今月12日までに7億7000万人あまりが2回の接種を終えていますが、衛生当局は「年内に少なくとも7割の人が2回の接種を終える」としていて、目標達成にはさらに接種を積み上げる必要があります。

また、市中感染が発生した都市では「対策が不十分だった」として政府関係者が処分されることが多く、より強硬手段に出やすい背景があります。

市民からは「ワクチン接種は自由意思のはずだ」との指摘も相次ぐ中、地方都市がどこまで厳格に措置を適用するのか、また今後、北京や上海といった大都市にもこうした措置が波及していくのか注目されます。