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ナゼ?コロナ禍で暗号資産が値上がり傾向

2021年8月18日 21:35
ナゼ?コロナ禍で暗号資産が値上がり傾向

コロナ禍において、ビットコインを始めとする暗号資産が値上がり傾向にあります。その背景とは何か?暗号資産と仮想通貨、何が違う?暗号資産が中米でも注目されるワケとは?そして暗号資産の将来を専門家はどうみている?知っておきたい暗号資産の話をまとめました。(国際部・後藤大海)(澁谷アナ)

NEWSイチから解説。18日のテーマは「コロナ禍で暗号資産が値上がり傾向」です。

「暗号資産」はインターネット上でやりとりできる財産的価値、デジタル資産です。今、暗号資産市場の時価総額が、一時219兆円を上回るなど値上がり傾向が続いています。

■暗号資産とはそもそも何か

暗号資産は以前、仮想通貨と呼んでいました。国際的な取り決めに基づき、日本では法律で、2020年から「暗号資産」と呼ぶことにしました。

暗号資産の特徴は、円やドル等の通貨と交換でき、不特定の相手に対する代金の支払い等に使用できます。そして、電子的に記録されます。これは電子マネーのようですが、電子マネーと違うのは、法定通貨建ての資産ではない、つまり利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、価格が大きく変動する傾向にあり、注意が必要な点でもあります。

■暗号資産人気のワケとは?

暗号資産が今、値上がり傾向にあるのはなぜなのか、代表的なビットコインについてみると、今年4月まで値上がり傾向が続き、その後、大きく下げた後に再び値上がりし、今も、コロナ前よりも高い水準になっています。

理由のひとつは、各国がコロナ禍での経済対策で金融緩和を行ったので、お金の価値が相対的に下がることを嫌った投資家たちが、お金以外の資産として、暗号資産に目を付けたと指摘されています。
イギリスのフィナンシャル・タイムズの見だしによると、海外メディアは、コロナ禍で、特に若い世代が金や株といった従来の投資対象よりも、見返りが多いと見込んで暗号資産への投資ブームのような状況が起きていると報じています。

一方で、暗号資産を法定通貨として導入することを決めた国も現れました。人口がおよそ660万人の中米・エルサルバドルです。

9月から国内で販売されるすべての商品の値段がビットコインで表示できるようになるほか、納税もできるようになります。これにより、多くの人が金融サービスにアクセスできるようにしたり、海外からの送金を迅速かつ安く行ったりする狙いがあります。

■暗号資産メリット・デメリット

それだけ将来性を感じている人が多いということですが、今はメリットとリスクが同時にあると言えます。エルサルバドルでも、世論調査で、国民の半数以上が懐疑的な見方をしていると、ロイター通信は伝えています。

また、ビットコインの価格変動を見ても、1か月の間に倍近くなったり、逆に半分近くになったりもしています。日本銀行も「国や中央銀行が発行した法定通貨ではなく、裏付けとなる資産を持っていないので注意が必要」としています。

さらに、絶対もうかると言われて投資した結果、返金されない、出金できないなどのトラブルも起きているとして、金融庁なども注意を呼びかけています。

■暗号資産の将来性は?

暗号資産はこの先、どうなっていくのでしょうか。

マネックス証券専門役員 チーフ・アナリストの大槻さんは、次のような可能性を指摘しています。

「エルサルバドルのように、金融サービスにアクセスできない人が多い国で、暗号資産は生活に役立つ可能性がある」

「発行上限が厳密に決められていることなどから、希少性が上がり、投資対象としてより大きな影響を持つ存在になる可能性もある」

一方で、各国で起きうることとして、「処理能力の高い量子コンピューターによって、暗号資産のセキュリティーが破られ、価値がゼロになってしまう可能性」

「政府による規制が厳しくなり、自由な取引が行われず暗号資産の価値が暴落し、誰も目を向けなくなる可能性」があるということです。

暗号資産の今後については、さまざまな可能性がありそうです。