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NYの街中になぜ?“レモン畑”出現し人気

2021年8月1日 18:17
NYの街中になぜ?“レモン畑”出現し人気

米ニューヨークの街中に“レモン畑”のオブジェが出現。ちゃんとレモンの香りもして、SNS映えすると人気です。設置されたのは、高層ビルの建設現場。街のあちこちにある、殺風景な「足場」を人が集う場所に生まれ変わらせようという新たな取り組みです。


■建設工事の“足場”が“レモン畑”に

摩天楼が立ち並ぶニューヨーク・マンハッタン。あちこちで目に付くのが、ビルの建設工事用の“足場”です。その数、市内で約9000か所。落下物があたらないよう、歩道を覆うように鉄パイプと板などが組まれていて、非常に殺風景だとニューヨーカーにも大変不評です。
付近を通りかかった女性も「大雨の時は雨宿りに使えるけど、足場は本当に景観を損ねるものよ」と話しました。

そうした状況を一変させる取り組みが始まっています。
ある高層ビルの工事現場を訪ねると、横には足場が組まれていますが、その下には不思議な世界が広がっていました。直径1メートル以上もある巨大なレモンがあり、周辺の芝生にも大きなレモンのスライスがいくつも置かれています。

実は、この場所、「シトロビア」と名付けられたレモンの世界。約700個のレモンやレモンの木のオブジェがあり、まるで絵本の中の世界のようです。また、視線を上に向けると、足場の上は布で覆われていて、照明の色が次々と変化し、幻想的な雰囲気になっていました。

さらに、レモンの香りがする仕掛けも。ここではレモンの香りを出すアロマディフューザーが5か所に設置されていて、爽やかなレモンの香りと景観を同時に楽しむことができるのです。

TikTokの映像を見て、ここに来たという女性は──。
「建設現場と言ったらホコリっぽく危険な場所で、普通『美しさ』とは結びつきません。でも、ここは安全と美しさを同時に提供してくれる、素晴らしい場所です」

スマホを活用して楽しむ工夫もあります。場内の各所にあるQRコードを読み取ると入力画面が現れ、レモンの木に好きな名前をつけることができます。


■仕掛け人は“ディズニー”のアトラクションも手がける企業

このスペースの仕掛け人は、ディズニーワールドにある、「スターウォーズ」や「アナと雪の女王」のアトラクションを手がけた企業。担当者に、狙いを聞きました。

開発会社の担当者
「(ニューヨークは)街中どこを見渡しても、建設現場や足場がある状況です。私たちはニューヨーカーや観光客の体験をより良いものにしたかったのです」

人が行きたくない場所を、行きたいと思う“目的地”に変えようというアイデアだそうです。
殺風景な工事現場の足場が一転、若者の人気スポットに。日本の工事現場にも参考になるかもしれません。