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急増する重症者…転院先なく“危篤状態”も

2021年7月31日 0:58
急増する重症者…転院先なく“危篤状態”も

全国の新型コロナウイルスの感染者は30日、また1万人を超え、過去最多となりました。zeroは、30日、都内の病院を取材しました。基本的に中等症の患者を見ていますが、重症化しても転院できないケースが出てきていました。

    ◇◇◇

30日夜、お台場にある聖火台の前では、午後8時を過ぎても多くの人が立ち止まって、写真撮影をしていました。オリンピックムードを楽しむ多くの人が見られました。

神奈川在住
「一生に一回あるかないかなので、できるだけ人が少ないところで 見たいなと思って来ちゃいました。(医療が)ひっ迫って言われても全然身近には感じていない」

千葉在住
「ワクチンも打っているし大丈夫かな、みたいなところは感じる」
30日も東京では、新たに確認された感染者は、3日連続で3000人台でした。全国でも3日連続で過去最多となる1万744人の感染者が確認されました。「第5波」に歯止めがかからない中─。

菅首相
「8月末までの間、今回の宣言が最後となるような覚悟で、政府をあげて全力で対策を講じてまいります。国民の皆さんのご理解とご協力を、心からお願いを申し上げます」

30日夜、東京・沖縄に出ている緊急事態宣言の延長と、首都圏3県と大阪への対象拡大が正式に決まりました。

東京都・小池知事
「不要不急の外出、もう何度も申し上げていますが、きょう3県(神奈川・千葉・埼玉)が、宣言の対象になるということもあります。ともに都県境を越える移動を連携して慎むことで、効果も出していきたい」

一方、新たに882人の感染が確認された大阪では─。

大阪府民
「正直言ってまたかという感じ」
「緊急事態宣言出しても、内容が一緒だったら意味がないのかな」

このような声が聞かれました。

政府分科会の尾身会長は─。

政府分科会・尾身会長
「重要な課題の一つは、人々がコロナ慣れ、緊急事態宣言に慣れ、それからデルタ株のこともあるし、夏休み・お盆・4連休があり、オリンピックがあるということで、なかなか危機感が伝わりにくい状況があると思います」

また、菅首相は─。

菅首相
「若い世代での感染が、急拡大をいたしていることであります。このまま感染者の増加が止まらなければ、重症化数もさらに増加し、病床がひっ迫するおそれがあります」

    ◇◇◇

30日、医療の現場では、何が起きていたのでしょうか。

東京・豊島区の病院には、新型コロナウイルスに感染した70歳代の男性が、運ばれてきました。一般患者との接触を避けるため、裏口へ遠回りします。別の病院に入院していましたが、クラスターが発生し、この病院に搬送されてきました。

別の呼吸状態が悪い患者には、投与する酸素の準備をしていました。

この病院は、通常、軽症と中等症患者の治療を行っています。

大同病院・島本周治副院長
「(重症化した時に)転院の相談をしたけど、受け入れ先がないということで、ご家族にも受け入れ先がないということをお伝えした上で、当院で診療を継続している」

重症化した後も転院先が見つからず、危篤状態になる人もいるといいます。

大同病院・島本周治副院長
「(Q病床は常にいっぱい)そうですね。ここのところは、ところてん式に(患者が)出たらすぐ入るという感じ」

    ◇◇◇

病院に患者を運ぶ民間の救急車は─。

民間救急フィール・齊藤学代表
「第4波などに比べて、今回の第5波の方が、搬送件数もかなり増えています」

特に20代や30代などの若い人の搬送が、多いといいます。さらに、これまでと違うのが─。

民間救急フィール・齊藤学代表
「これ以上(感染者が)増えてしまうと、医療機関のひっ迫が始まって、いままでは比較的、自宅から近くの医療機関へ搬送できたが、だんだん自宅から遠く、1時間~1時間半かけて移動することが多くなってきています」

医療現場への負担が増す中、急増しているのが重症化する人たちです。29日時点では、全国に626人で、前の日から87人増加しています。

都内の大学病院では─。

東京医科歯科大学大学院・具芳明教授
「一般の診療の制限も含めて、あるいは救急の受け入れの制限も含めて、検討してほしいというような要請が(東京都から)あった。重症の病床をより多くの方に対応できるようにしようということで、いま準備を始めている」

東京都の要請を受け、現在8ある重症病床を12まで増やすことを決めました。しかし─。

東京医科歯科大学大学院・具芳明教授
「(重症病床の場合) ただ単にベッドを一つ増やすだけじゃなく、トレーニングを受けたスタッフをきちんと配置することが必要になる。『じゃあ明日から』っていうわけには、なかなかいかないところがあって。そこをいま、進めているところです」

    ◇◇◇

この状況をどう打開するのか。菅首相が、繰り返したのが─。

菅首相
「国民の皆さんには、先ほど申し上げましたけど、ワクチン接種こそがまさに決め手であり、総力を挙げて接種を進めていく。その必要があると考えています」
「8月下旬には、2回の接種を終えた方の割合が、全ての国民の4割を超えるよう取り組み、新たな日常を取り戻すよう 全力をつくしてまいります」

7月30日放送『news zero』より。