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「またか」…“宣言”延長に飲食店ため息

2021年7月30日 9:23
「またか」…“宣言”延長に飲食店ため息

全国の新型コロナウイルス感染者は29日、初めて1万人を超えました。政府は東京と沖縄の緊急事態宣言を延長し、4府県にも拡大する方針です。都内の飲食店や沖縄のホテルなどに受け止めを聞きました。一方、パラリンピックも「無観客」の見方が出ています。

■都内の飲食店「またか」ため息

期限まで3週間以上ある、緊急事態宣言。29日、東京と沖縄で延長される方針が明らかになりました。この日夜、都内の居酒屋を訪ねました。

店主
「これだけ(新型コロナウイルス)陽性者数が増えて、相当な人数になっちゃってるんで、(緊急事態宣言が)延長になってしまうのかなと、心のどこかで思っていましたが…」

「(延長方針を)聞いたときに『またか』『結局続いてしまうのか』って。次に、この状況のまま続いてしまうのは、先が見えない。けっこうつらいですよね」

別の居酒屋で取材すると、店主がカレンダーを見ながら「今年の1月から緊急事態宣言・まん延防止(等重点措置)とかいろいろ発令されたりして…。今までは(カレンダーに)赤いマジックで書いていました」と話しました。

「(8月22日までの約)40日間の緊急事態宣言で、『今回最後だろう』と思って願いを込めて、青いマジックを使って印をしたんですけど、8月いっぱい延長されるということで。『またか』って思いますよね。いつまで延長するんだろうと」

■「緊急事態」延長…4府県へも拡大

菅首相は29日、官邸で「東京の感染者数は過去最多、また(感染者数は)他の地域においても増えつつあります。強い危機感を持って対応いたしております。各自治体から要請があり、緊急事態宣言やまん延防止措置(の発出)、こうしたことについて30日、専門家の会議にかけることを決定いたしました」と述べました。

1日あたりの感染者数が全国で初めて1万人を超え、1万691人(午後10時半時点)となった29日、政府は緊急事態宣言の対象地域を拡大する方針を固めました。

現在、東京と沖縄に緊急事態宣言が出されていますが、政府・与党幹部によると、東京と沖縄は8月31日まで延長し、さらに埼玉・千葉・神奈川・大阪にも対象を拡大し、期間は8月2日~31日とします。また8月2日~31日、北海道・石川・京都・兵庫・福岡にまん延防止等重点措置を適用する方針です。

■東京は「過去最多」3865人感染

1日の感染者の数が過去最多の3865人(29日)となった東京。渋谷には、29日夜も多くの人の姿がありました。東京の緊急事態宣言の延長方針について聞きました。

大学生(20代)
「あんまり意味ないんじゃないかと思うけど…。1年前とかに比べたら全然、人も外に出ているし、お店も(営業が夜)8時までじゃないところも、けっこう開いてるところもあるので、そりゃ開いてたら行く人は行くよな、みたいな」

別の大学生(20代)
「ここまで我慢してきて、オリンピックもやってて、まだ俺ら我慢しなきゃいけないのかって思っちゃう人たちもいるのかな」

神奈川は2日連続で感染者数が過去最多となり、1164人でした。埼玉は864人、千葉は576人となるなど、首都圏では29日も多くの感染が確認されています。

■沖縄「ナイトプール」に人影なし

過去最多となる392人の感染が確認された沖縄県。那覇市内のホテルに、緊急事態宣言の延長について取材しました。

岩本乃蒼アナウンサー
「どう受け止めましたか?」

総支配人
「もしかしたら緊急事態宣言の延長、また再々延長されるんじゃないかと懸念していたんですけれども、それがやはりきたか、という印象を受けております。緊急事態宣言のさなかで、これだけの数の感染者が出ているので、果たしてこれが効果的なのかどうかっていうのは…。もしくは、それに代わるような施策も必要なんじゃないかなと、正直なところ思います」

夜10時までオープンのナイトプールにも、人の姿はありません。

岩本アナウンサー
「夏休みはほぼ全て、緊急事態宣言の期間に入ってしまいます」

総支配人
「一番の書き入れ時にこの緊急事態宣言がかぶってしまうことになると、かなりの死活問題になってくる。業界的には非常に落胆をしていますね」

一方、大阪では5月以来の900人以上となる932人の感染が確認されました。吉村知事は「府民の皆さんに申し訳ないけど、ご協力お願いしますとお伝えしていきたいと思います」

東京の小池知事は「デルタ株、本当に手ごわいです。引き続き人の流れの抑制、基本的な感染の拡大防止という対策の徹底をお願いいたします」

■専門家「経験のない爆発的な拡大」

専門家は相次いで危機感を表明しています。

国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は29日、都のモニタリング会議で「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっております」と報告しました。

政府分科会の尾身会長は29日の参院内閣委員会で「私は大変な危機感を感じております。それはなぜかと言いますと、実は今、この感染を下げる要素というのが、あまりありません」と述べました。

都内では、すでに入院患者の数が病床数を超えている病院もあります。河北総合病院では、小児用のベッドが満床となっているほか、病院全体でも43床用意したベッドを上回る45人が入院しています。親子で感染した場合は、同じ部屋に入院してもらうなどして、対応しています。

■「緊急事態」下のパラ“無観客”か

東京五輪で、無観客で開催されたBMXレーシングの会場の外では、競技を一目見ようと集まった人たちの姿がありました。自転車で来た1人は「雰囲気を風で感じたいなと思って来ました。もう退散しようかな」と話しました。

最寄りのゆりかもめの駅では、フロアの一部にシートを張るなど、人が密にならないよう対策をしましたが、ホームから競技を見たり、競技場へカメラを向けたりする人がいました。ゆりかもめ側は、駅の改札付近やホームに係員を配置し、電車の運行に影響がある時にはホームにとどまらないよう、適宜声をかけました。

一方、東京パラリンピックも緊急事態宣言下の8月24日に開幕します。このため、無観客での開催になるのではという見方が出ています。

(7月29日『news zero』より)