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感染拡大…尾身氏「危機感共有されてない」

2021年7月29日 19:57
感染拡大…尾身氏「危機感共有されてない」

都内の1日の感染者数が、28日、初めて、3000人を超えた中、29日、3865人という過去最多の感染者が確認されました。東京などの感染拡大に、政府分科会の尾身会長は「最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないこと」と指摘しました。

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東京都では、29日、新たに3865人の感染が確認されました。2日連続で3000人を超え過去最多を更新しました。東京都の分析会議では─。

国立国際医療研究センター・大曲貴夫医師
「これまで経験したことのない、爆発的な感染拡大に向かっている」

専門家は今の増加ペースが続くと、2週間後には感染者が、1日およそ4532人となり、医療体制が危機に瀕すると指摘しました。また、感染力の強い「デルタ株」への置き換わりも急速に進んでいます。

東京都・小池知事
「デルタ株、本当に手ごわいです。引き続き人流の抑制、基本的な感染の拡大防止という、対策の徹底をお願いします」

こうした中、無観客開催となったオリンピック、BMXレーシングの会場の外では、警察官が巡回する中、外から一目見ようとする人たちもいました。

「雰囲気を風で感じたいなと思ってきました。もう退散しようかなと」

最寄りのゆりかもめの駅では、フロアの一部にシートを張るなど、人が密にならないよう対策を行っていますが、駅のホームで、競技場の方にカメラを向けている人も見られました。ゆりかもめ側は、駅の改札付近やホームに係員を配置し、電車の運行に影響があるときにはホームにとどまらないよう、適宜、声かけを行ったということです。

東京などで感染が急拡大している状況について、政府分科会の尾身会長は─。

政府分科会・尾身茂会長
「この1年半のコロナとの対応の中で、最も厳しい状況に今いると思います。実は今、この感染を下げる要素というのが、あまりありません」

感染を拡大させる要因として、国民がコロナ疲れしていることや、デルタ株の感染力が強くなっていること、夏休みやお盆、オリンピックがあることなどを指摘しました。その上で─。

政府分科会・尾身茂会長
「最大の危機は、社会一般の中で、危機感が共有されてないことだと思います」

国民の間で危機感が共有されなければ、感染拡大が続き、医療のひっ迫がさらに深刻になると訴えました。

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東京・墨田区の保健所も、増加のスピードに、危機感を表しています。

墨田区保健所・西塚至所長
「1週間で30%ずつ増えていくようなスピード。医療や宿泊療養に中々入りにくい」

区の感染者数の1日平均は、直近7日間でおよそ36人で、先月上旬と比べるとおよそ6倍に跳ね上がっています。病床使用率は、今月、ベッドを増やしたことから、全体の4割ほどにとどめている状態です。また、若年層の症状の悪化が、増えているといいます。

墨田区保健所・西塚至所長
「なかなか病院に行かずに仕事も続けたり、頑張ってしまう例があります。こういった方々が重症の肺炎を起こす報告がある」

区は、体調が悪化する前に、積極的に検査をするよう呼びかけています。

また、埼玉県内の病院には、PCR検査を待つ人の長い列がありました。駐車場には、ドライブスルー形式で検査を受けようと、車がぎっしり止まっていました。

ふじみの救急病院・鹿野晃院長
「まさに第五波のまっただなかにいる状況ですね。急速に病床も埋まってきている状況で、入院の受け入れも各医療機関、なかなか受け入れてもらえないケースも増えてきて」

患者の対応とワクチン接種の両方に追われているといいます。

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こうした感染の急拡大で、埼玉・千葉・神奈川の3県は、このあと、共同で、国に、緊急事態宣言の発出を要請する方針です。

埼玉県・大野知事
「一刻も早く緊急事態宣言を出していただいて、早急に(対策を)講じることを政府に対して求めていきたい」

千葉県・熊谷知事
「近い将来の危機的な状況を、ぜひとも県民の皆さんと共有したいと考えている」

神奈川県・黒岩知事
「感染激増というモードに入っていると実感する」

神奈川県では、29日、1164人の感染者が確認されました。2日連続で過去最多を更新しています。

政府は、これら3県などについて緊急事態宣言を発出することを30日にも決定する方向で、調整を進めています。