×

「これが感染爆発」いま私たちができること

2021年7月28日 21:25
「これが感染爆発」いま私たちができること

オリンピックが盛り上がりを見せる中、東京都で28日、新型コロナウイルスの感染者数が3000人を超えることがわかりました。私たちはいま、どのように過ごせばいいのでしょうか?


■東京都 27日の感染者2848人…50代以下が95%弱

27日、東京都の感染者数は2848人。先週の火曜日(20日)の1387人と比べると2倍以上となりました。比較的感染者の少ない火曜日に、東京都としては過去最多を更新しました。そして28日は、3000人を超える見込みで、深刻な状況です。

27日の感染者数を年代別に見てみますと、20代が最多で951人、続いて30代が610人、10代も275人。一方で、60代以上の人数は全体のおよそ5%にとどまっていて、50代以下の若い世代が95%弱を占めている状況です。

高齢者はワクチン接種の効果で感染者数が目に見えて減っています。一方で、40代、50代の重症者は1月の第3波の時よりも増えています。27日の重症者は前日から4人増えて82人。じわじわと、しかし確実に増えていて、6月26日・27日の37人から1か月で倍増している状況です。亡くなった人は50代と60代の2人が確認されました。

小池都知事は、「ワクチンを受けていない、そして若い、だけど重症、中等症になる若い世代が増えている。若い方々の行動パターンが鍵を握っていますので。一方でみなさんオリンピック、おうちで見ていただいているのは視聴率が示している通りですよね。基本的なことをお守りいただきたい」と話しています。


■首都圏3県で「緊急事態宣言」要請への動きも…政府は?

東京だけではなく、ほかの地域でも感染者数が急速に拡大していて、沖縄県は27日、354人で過去最多となりました。北海道も138人、大阪府は741人と火曜日としてはかなり多い数字になりました。

そして、東京に隣接する埼玉県でも593人と過去最多です。千葉県で405人、神奈川県で758人ということで、神奈川県の黒岩知事は28日、感染者が急増している埼玉、千葉、神奈川の3県で、国に対して「緊急事態宣言」を要請する方針で足並みをそろえていることを明らかにしました。

この動きを受けて政府はどうするのか。ある政府関係者は「意味がない。“まん延防止”でも緊急事態宣言でも、やれることは変わりない」と、宣言の発出については温度感は低めです。

別の政府関係者も「一番重要なのは飲食店の見回り」と言っていて、飲食の場での感染対策を徹底してもらうしかないとしています。ですから、今週、なにか動きがある可能性は低いと話しています。


■医療の現場「もう逼迫し始めている」

ただ、医療の現場ではすでに逼迫(ひっぱく)した状況が出始めています。東京・文京区の東京医科歯科大学病院で現場の声を聞きました。

27日午後5時ごろに撮影された映像を見ると、デルタ株に感染した患者が入院しているベッドの周辺には、デルタ株を表す「L452R」という張り紙がされています。入院患者は今月中旬以降から増えていて、4月の第4波までの平均年齢は常に60歳代でしたが、27日の段階では48.6歳まで下がっているということです。

東京医科歯科大学病院の植木穣病院長補佐は、「重症も今半分埋まっているという状況ですし、中等症も常に満床に近い状況になっていますので、状況としては、もう逼迫し始めているという状況です」と話していて、非常にアクティブに仕事をしたり動いたりしている人に感染が広がっているため、広がる速度がかなり速いと感じているということです。


■いま気をつけるべきことは?

こうした状況を私たちはどう見て、何に気をつけて過ごせばいいのでしょうか?

28日、厚生労働省の専門家会議のメンバーで、公衆衛生が専門の和田耕治教授は、「これがいつか起こると恐れていたオーバーシュート(感染爆発)です。ここがピークかどうかも、わかりません。この1年半で、都内で感染する可能性は今が一番高いです」と話していました。

では、どうすればいいのか?

和田教授は、「今あらわれている感染は、およそ10日前の出来事です。久しぶりの人と会う約束や会社が行う会合に参加しない。『今はやめましょう』と言う勇気が大事」だとしています。

そしてオリンピックのテレビ観戦も、「家族以外との接触を減らして、家での時間を過ごすことが、感染拡大を止める上では有効」ということです。来月はお盆がありますが、どこにも行かず平穏に過ごすとか、人にうつさないとか、それぞれの理由でいいので、人との接触をやめることが感染者の減少につながると話しています。

ワクチン接種率はあがっていますが、まだ2回接種を終えた人は25%ほどと、集団免疫にはほど遠い段階です。なので、デルタ株で感染リスク高まっていることを頭に入れて、一人一人の感染対策で感染者を減らすしかありません。


(2021年7月28日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)