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黒い雨訴訟 菅首相「直ちに被爆者手帳を」

2021年7月26日 19:25
黒い雨訴訟 菅首相「直ちに被爆者手帳を」

広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとして、住民が起こした裁判で、広島高裁が被爆者手帳の交付など、住民の救済を命じた判決に対し、菅首相は、上告を断念する考えを示しました。

広島高裁は、今月14日、「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとする、84人の原告全員を「被爆者」と認定し、広島県と広島市に「被爆者健康手帳」の交付を命じる判決を言い渡しました。

この判決の上告期限が28日に迫る中、菅首相は26日、上告断念を表明しました。

菅首相「84名の原告の皆さんについては、被爆者援護法に基づいて、その理念に立ち返る中で、救済をすべきである。上告については、しないことといたしました」

厚生労働省などは、「今回の原告が黒い雨により、健康被害を受けた、科学的根拠は乏しい」などと主張し、上告すべきとの考えでしたが、総理の判断で、上告断念となりました。

菅首相は、また、「直ちに原告に被爆者手帳を交付したい」と述べた上で、原告以外の同じような事情を持つ人についても救済の対象とする方向で検討する考えを示しました。

一方で、判決については、「政府として受け入れがたい部分もある」とも述べていて、政府として談話を出すことを明らかにしました。

菅首相は、その後、広島県の湯崎知事と広島市の松井市長と総理官邸で会談し、上告を断念する方針を伝えました。

湯崎知事「原告以外の方々の救済というところがありますので、厚労省と我々、県市でですね、しっかりと詰めていくということがあるので、そちらのほうもよろしくお願いします、ということで総理がおっしゃっていただきました」

また、松井市長も「被爆者援護制度の充実に必ずつなげるような対応をしっかりやっていきたい」と述べました。