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東京「再拡大」鮮明…“特別な夏”に警戒感

2021年7月17日 13:20
東京「再拡大」鮮明…“特別な夏”に警戒感

東京の新型コロナウイルス感染者は16日、3日連続で1000人を超え、再拡大に歯止めがかかりません。政府分科会の尾身会長は、五輪とデルタ株がある今年の夏休みに警戒を促しています。一方、都の飲食店協力金をめぐり、店から憤りの声が上がっています。

■人出減らず…東京1271人感染

4度目の緊急事態宣言が出されて初めての金曜日となった16日。夜8時、東京・渋谷のスクランブル交差点では多くの人が行き交っていました。ハチ公像の周りには人だかりができ、道玄坂も道いっぱいに人が歩いていました。宣言下も人出が減りません。

これから飲みに行くという、20代の会社員男性は「感染が多い時期に差し掛かっていると思うので、自分自身、もう一回、気を引き締めなきゃなと(思います)」と話しました。

新橋では、東京都の職員らが歩いて「皆さまお1人お1人のご協力が、感染の拡大を防止します」と呼びかけました。

しかし、東京の感染状況は悪化しています。16日の新たな感染者は1271人で、3日連続で1000人を超えました。経路別では、家庭内感染が255人、職場内感染が82人、会食での感染が39人。年代別では30代以下が全体の7割近くを占めています。

都内の学習塾では、小学生12人が感染するクラスターが発生しました。感染の再拡大に、全く歯止めがかかりません。

16日夜、渋谷にいた会社員(36)は、家でゲームをする機会が増えたといいます。「ゲームソフトを買いに来ました。コントローラーも買いました。土日は外に出ないで、おうちで静かにしたいと思います」と話しました。

■夏休み“山場” 五輪「自宅応援」

小池都知事は、7月22~25日の4連休を「重要な期間」と位置づけ、「連休の人の流れというのが感染の急拡大をもたらすのではないか。あらためて不要不急の外出、都県境をまたぐ移動、極力お控えいただきたい」と呼びかけました。東京オリンピックも「自宅で家族とテレビ観戦してほしい」と求めました。

政府分科会の尾身会長も、「オリンピックの応援は自宅で」「都道府県を越えた移動は控えめに」「大人数・長時間での飲食は控えめに」と会見で強調。夏休みの8月下旬までが山場だとして、宣言期間中に感染拡大を抑えることが必要だと訴えました。

「去年(の夏)との違いというのはいくつかあると思いますけど、デルタ株(インド型)の影響は去年にはなかったことですね。(今年の夏は)デルタ株がある。オリンピックがある。特別だと思います。しっかりやらないと感染拡大してしまう時期ですよね」と警戒を求めました。

「上から目線の『あれして』『これして』っていうことでは、なかなか難しい。『みんなと一緒にやるんだ』という感覚がないとできない」とも指摘しました。

■“先渡し”方針で5月分申請ずれ

一方、東京都からの協力金をめぐり、要請に従って時短営業を続ける居酒屋の店長は「これ、意味あるのかなあ」「憤りを感じざるを得ない」と言います。

5月分の協力金に関する都のホームページでは、申請受け付けの開始日は当初「7月15日」でしたが、消されて現在は「7月26日」になっています。

都の担当者は「今回の緊急事態宣言に伴う早期給付が決まり、こちらを集中的・優先的に行うため、5・6月分の申請日をずらした」と説明します。

これに対し、都内の多くの飲食店がSNS上で反応。「えっ!? 7月分の一部を早期給付するから、5月分と6月分の受付ちょっと待ってってどういう原理と思考回路なん」「ほぼ意味なくない? 4月分もまだ入らないんですけど」といった声が上がっています。

4度目の宣言の国の方針で、7月分の協力金を先渡しする代わりに、それ以前の申請が遅れる状況となっています。

居酒屋の店長は「前の分も払われてないのに、後の分だけ前倒しって、それなんか意味あんの? 本当意味分からないですね。目くらましじゃないですけど、なんか、ちゃんとやってる風に見せてるだけで、われわれの心を踏みにじっているとしか思えないですね。こっちが『お願い、お金ください、休ませてください』って言っているわけではないので。その辺、早急に(支払ってほしい)」

(7月16日『news zero』より)