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「第一空挺団」施設を公開 命を守る舞台裏

2021年7月14日 23:28
「第一空挺団」施設を公開 命を守る舞台裏

自衛隊唯一のパラシュート部隊「第一空挺団」。7月24日から実施される日米共同降下訓練を前に、訓練に参加する「第一空挺団」の施設が報道公開された。隊員の命を守るパラシュートを整備する「舞台裏」を担当記者がリポートする。(政治部防衛省担当・増田理紗)

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■日本唯一のパラシュート部隊

千葉県にある陸上自衛隊・習志野駐屯地の「第一空挺団」。約2000人が所属する日本唯一のパラシュート部隊で、武力侵攻などがあった有事には、航空機から人員のほか、車両、火砲などをパラシュートで降下・投下する空挺作戦を担う精鋭部隊だ。7月24日から実施される日米共同降下訓練を前に、「第一空挺団」の施設が報道陣に公開された。


■パラシュート降下隊員らの装備は重さ45キロ以上

隊員らはパラシュートで敵地などに降下して初めて、陸地での作戦に入ることができる。そのため、降下後に必要となる装備品を身につけた上で降下するのだ。実際の装備品を記者も装着してみた。

まず、背負うのは降下の際に使用する「主傘(しゅさん)」と呼ばれるパラシュート。約18キロあり、これだけでもかなりずっしりと重くのしかかる。さらに、万が一「主傘」が開かなかった場合に使用する予備のパラシュートや、食料や必需品などを入れた「背のう」を装着すると、合わせて45キロにもなる。

実際には、さらに小銃などを装備した上で、高度約340メートル、時速約240キロで飛行する機体から飛び出し、降下するという。記者は踏ん張って立つだけで精一杯だった。


■縁の下の力持ち 落下傘整備中隊

パラシュートを点検する整備員隊員らの命を守るパラシュート。実は、一つ一つ手作業で点検・包装し、万全の態勢を整えている整備員らの技に支えられている。

整備を担う隊員は、「自分の一つのミスが降下する隊員の命に直結する。包装ミスは絶対にしないように心がけている」と語った。一人一人が責任を持って点検することで、これまでの降下で整備不良による事故は一度も起きていないという。


■グアムで日米共同降下訓練

自衛隊と米軍は7月24日から28日まで、アメリカ・グアムにあるアンダーセン空軍基地で日米共同降下訓練を行う予定だ。陸上自衛隊からは第一空挺団の隊員をはじめ、約110人、米軍からは沖縄県に配備されている米軍「第一特殊部隊群」などの隊員が参加する。今回は、敵に離島が占拠された想定で、日米の部隊が米軍機で日本を出発し、島の空港に降下、奪還する訓練を行う。

陸上自衛隊によると、日本を出発した機体から直接、外国に降下するのは今回が初めて。中国が軍事活動を活発化させる中、島しょ防衛の重要性は一層増していると言えるだろう。