×

土石流“盛り土”新証言…かつて「車」も?

2021年7月7日 9:20
土石流“盛り土”新証言…かつて「車」も?

静岡県熱海市の土石流で、その約半分を占めていた「盛り土」には木くずなど産業廃棄物が含まれた建設残土が使われていたことが分かりました。専門家は盛り土が弱くなる可能性を指摘。車が埋まっていたという証言もあります。県は因果関係を調べています。

■県「盛り土があったことは事実」

静岡県熱海市の土石流が始まったとされる場所では6日も、ドローンを使った調査が行われていました。国土交通省の担当者は「まずどのように崩れたのかということを調査しています」と言います。

山がどこから崩れたかは分かっていませんが、被害を拡大させたとみられるのが、土石流の約半分を占めていた「盛り土」です。県の担当者は会見で「崩れた山の上部に盛り土があったということは事実で間違いないです」と明らかにしました。

誰が何のために盛り土をしたのか、その経緯が徐々に分かってきました。

崩落する前の2017年に許可を得て撮影されたという提供映像を見ると、土石流が起きた場所には、山道が続いていて、休憩用なのかベンチもありました。

映像で道を歩いていたた男性は取材に「すごくきれいな緑の草原のような印象ですかね。ここは景勝地なのかというのが私の第一印象です。びっくりしたんですね。ここがまさか崩れるような場所とはまったく思えない状態だったので」と話しました。

■盛り土の後「トラブル」…産廃が

盛り土がされた当時を知る人に話を聞きました。

元土木関係の男性
「昔は全部谷だったんです。だから、地元の人は『昔からの水みちだから、こんなところ埋めたら大変なことになるよ』と(話していた)」

この男性は14年前、近くの別の現場で配管工事をしていたといいます。「おそらくいずれは、分譲でもするつもりじゃなかったんじゃないですかね。でなきゃ埋めるあれ(理由)ないでしょ」と話します。

2007年、神奈川県内の不動産業者が「土地の形を変える工事をしたい」と熱海市に申し出ました。それに先立ち2006年、市役所に「宅地化を含む工事をしたいと思っている」という趣旨の話をしていたといいます。

その後、盛り土が行われましたが、後にトラブルが発覚しました。市によると、盛り土には木くずや風呂のタイルなどの産業廃棄物が含まれた建設残土が使われていたことが分かりました。

■専門家「木くず腐れば弱くなる」

盛り土に産業廃棄物を含む建設残土を使うことはあるのか―。今回の盛り土とは無関係の、神奈川県の建設会社は「通常、盛り土用の土は購入するもの。安価で済ませようと、解体現場などから産業廃棄物が入った土をもらったのではないか」と推測します。

盛り土をする条件について、地盤工学の専門家の神戸大学大学院・渋谷啓教授は「良い材料を使って、十分に締め固める。水処理をきっちりする。その3つが原則ですね。4つ目としては盛り土は、しっかりした基盤に乗っけることです」と指摘します。

当初、盛り土に産業廃棄物を含んだ建設残土が使われていたことについて渋谷教授は「例えば木片が入っていると、経年劣化で腐り、盛り土に穴が開いてしまいます。そこが水みちになって盛り土の中に水を呼び込み、盛り土が弱くなってしまいます」と言います。

■当時の所有者 産廃と責任“否定”

熱海市は業者に産業廃棄物を取り除くよう指示するも、取り除かれないまま業者が土地を手放し、その後、現在の所有者のものになりました。代理人弁護士によると、現在の所有者は購入時点で盛り土がされていたことは知らなかったということですが、この弁護士は「『自動車かなんかが埋まっているから、取り除きなさい』と行政にやらされたと聞いている」と明かしました。

産業廃棄物を含む残土は市などが指導して、現在の所有者が取り除いたといいます。

土石流が起きた翌日の4日、盛り土を申請した当時の土地所有者だった業者から相談を持ちかけられたという弁護士に取材しました。

――例えば(業者は)「自分の責任」などと(言っていた)?

「いやいや、自分は責任がないって言ってた。はっきり言った。『責任は自分はありません』と。『産廃じゃない』と言っていた。残土だと言ってたな。開発許可を取って残土を埋めてたと」

6日夜、熱海市長は会見で「大変重要な問題だと考えておりますので、知事のおっしゃる検証にしっかりと協力する形で精査をしていきたいと考えております」と述べました。

県は盛り土と土石流の因果関係を調べるとともに、二次災害の恐れがないか、崩落現場の観測を続けています。

(7月6日『news zero』より)