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「特定外来生物」駆除に“懸賞”制度

2021年7月2日 19:29
「特定外来生物」駆除に“懸賞”制度

いま全国で、木を枯らしてしまう虫の被害が相次いでいます。ある自治体では、「特定外来生物」を駆除した住民に、商品券を支給する“懸賞制度”を始めました。

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埼玉県行田市。ある“侵略者”に頭を悩ませていました。

行田市役所・環境課 坂本三夫主査
「クビアカツヤカミキリが特定外来種で、サクラの木を侵害している」

主に中国などに生息するカミキリムシの一種、特定外来生物のクビアカツヤカミキリ。サクラなどの木に寄生し、枯らしてしまうといいます。

2020年度は市内で200匹以上が確認されたこの昆虫。そこで市は、ある秘策を打ち出しました。

行田市役所・環境課 坂本三夫主査
「クビアカツヤカミキリの成虫を捕殺していただいて、環境課に持ち込んでいただいて、商品券をお渡しする」

なんと、7月から、クビアカツヤカミキリに“懸賞”をかけたのです。もらえるのは、10匹ごとに市内で使える商品券500円分。(予算に達し次第終了)

この“懸賞制度”。すでに効果が出ているといいます。

行田市役所・環境課 坂本三夫主査
「今回、この2日間で412匹捕殺していただいたものを確認してます」

ただし、対象は行田市民で、市内で捕獲したクビアカツヤカミキリ限定。また、特定外来生物は生きたまま移動させることが禁じられているため、持ち込むのは殺処分した成虫であることが条件だということです。

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住民と自治体が協力して行う特定外来生物への対策。

都内の公園でも…。

浮間公園サービスセンター 三村和子センター長
「浮間ヶ池でとれたブルーギルなどを回収しているのが、この箱になります」

浮間公園で問題になっているのは、「ブルーギル」。いつ公園の池に入ってきたのかはわかっていませんが、今では在来種よりも数が多いといいます。

池の生態系を取り戻すため、救世主として期待されているのが、公園を訪れる釣り人たちです。

元々、釣りが楽しめるこの公園。ブルーギルが釣れた場合、池の横にある回収ボックスに入れてもらうよう、お願いしているといいます。

釣り人
「釣れた時は、みんなあそこに入れますよ」

釣り人の協力だけで効果があるのかと思いきや…。

浮間公園サービスセンター 三村和子センター長
「(今年)6月は、今までの最高記録、92.1キロ回収しました」

公園では2020年から、釣れたブルーギルなどを堆肥にして、花の肥料として活用するプロジェクトを開始。

浮間公園サービスセンター 三村和子センター長
「大切な命を資源として考えて、循環させていく。この浮間ヶ池が在来種の棲みやすい環境に、少しでも近づいてくれればなと思っています」

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特定外来生物の駆除は静岡市でも。

静岡市・環境創造課 八木駿さん
「人員を確保できたため、一斉駆除に乗り出しました」

駆除したのは、黄色の花を咲かせるキク科の一種、「オオキンケイギク」。このきれいな花も、実は特定外来生物なんです。

6月、70人を動員し、ゴミ袋261杯分もの量を駆除したということです。

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各地で影響を及ぼす特定外来生物。さまざまなかたちで自治体が対策に乗り出しています。