×

「デルタ株」が猛威 接種回数で効果に差も

2021年6月24日 20:24
「デルタ株」が猛威 接種回数で効果に差も

インドで最初に確認されたデルタ株の変異ウイルスが、いま、世界で猛威を振るい始めています。ワクチン接種が進んだイギリスなどでも感染再拡大の要因となっていて、専門家から感染再拡大への警戒感が示される日本でも、広がりが懸念されています。このデルタ株、そしてさらに変異した「デルタプラス」について解説します。


■“感染再拡大の予兆”が…懸念は変異ウイルス拡大

国内の感染状況を見てみると、東京都の23日の感染者は619人で、前の週の水曜日(16日)から118人増えています。直近7日間の感染者数の平均も前の週と比べて109.9%と、増加傾向に。緊急事態宣言の解除から数日しかたっていませんが、専門家が懸念を示していた通り、早くもリバウンドの兆候が目に見えてきています。

一方で、ある専門家からは、高齢者を中心にワクチン接種をした人が増えてきたのに伴って、重症化し搬送されてくる人の年齢層が下がってきているという話も。一部ではワクチンの効果が見え始めているということです。

この状況を専門家はどう分析しているでしょうか。

東京都が24日に開いたモニタリング会議では、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師から、「新規陽性者の増加比は、2週続けて大きく上昇していて、感染の再拡大の予兆がみられる。これまで以上に人流増加の抑制、基本的な感染防止対策を徹底し、急激な感染の再拡大を阻止しなければならない」と、“感染の再拡大の予兆”とする指摘がありました。

最も懸念されるのは変異ウイルスの拡大です。インドで最初に見つかったデルタ株の変異ウイルスについて、23日、京都大学の西浦教授らが厚労省の専門家会議で、今後の拡大予測のデータを示しました。

このデータでは、国内の感染者のうちデルタ株が占める割合が、来月上旬には半数を超えて、東京オリンピックの開会式が行われる23日には68.9%を占めると予測しています。


■ワクチンの回数で効果に差?「デルタ株」の特徴は

このデルタ株の最大の特徴は感染力の強さで、従来型のほぼ2倍といわれています。

さらにデルタ株が厄介なのが、ワクチンの接種回数で効果に差が出るということです。

ワクチン接種が進んでいるイギリスでは、感染者数を大幅に抑え込んできましたが、ここにきてデルタ株が急拡大し、感染者が急増しています。今週から行動制限緩和の最終段階としてナイトクラブなどを再開する予定だったのですが、少なくとも4週間、先送りされる事態となりました。

接種が進んでいるのに感染が広がるということについて、ワクチンが効かないわけではないのですが、ワクチンの接種が1回のみでは効果が低いということです。

従来型に対しては1回の接種で57%の人に十分な抗体ができたのに対して、デルタ株の場合は1回の接種では37%にとどまっています。そして2回の接種を完了すれば、従来型だと99%、デルタ株でも97%と、9割を超える有効性が分かっています。

つまり、一日も早く、より多くの人が2回接種を完了することがより一層重要になるということです。


■なぜイギリスで再拡大?理由は接種の進め方にも

イギリスでは、1月には新規感染者数が一日に6万人を超えていましたが、ワクチン接種が進んだことや厳しい行動制限をしたことで激減。先月3日には1600人ほどに減ってきていました。

しかし、その後に急増して、今月23日には1万6000人を超え、この1か月半で10倍にはねあがりました。

この新規感染者の90%以上がデルタ株で、拡大した理由の1つはワクチン接種の進め方だといいます。

イギリスでは18歳以上のおよそ8割が1回目の接種を終え、6割が2回目の接種を完了しています。

ただ、イギリス政府は、できるだけ多くの人に1回目の接種を行き渡らせる戦略をとっていて、2回目までの間隔を最大12週間までOKとしてきました。ファイザーのワクチンだと通常は3週間ですから、その4倍と間隔が長いので、1回しか接種していない人が多く居て、今回のデルタ株の感染者急増につながっているとみられています。

こうしたことを受けて政府は、2回目までの接種間隔を先週から8週間に短くしました。

ただ、ワクチンのおかげで重症者数は低く抑えられています。入院している人の多くは2回接種を完了していない人で、接種の優先順位が後回しとなった若い世代の感染割合が高いといいます。


■さらに新たな変異ウイルス…「デルタプラス」とは?

新たな変異ウイルスも登場してきました。デルタ株がさらに変異した「デルタプラス」です。

インド当局によりますと、デルタプラスは4月上旬に採取した検体から初めて検出され、これまでにインド国内でおよそ40人の感染が確認されています。また、イギリスでも41人の感染が確認されているということです。

このデルタプラスの特徴は、これまでのデルタ株よりも感染力がさらに一層強くなっているとみられることです。現地の医科大学は、デルタプラスの患者の隣をマスクなしで歩いただけでも感染が拡大する可能性があると指摘しています。ただ、現時点で死者は出ていないということです。

インド当局は、このデルタプラスを「懸念される変異株」に指定して警戒を呼びかけています。

東京では早くもリバウンドの兆しが見え始めていますが、そんな中でデルタ株が広まれば、感染拡大のスピードが急速に加速していくことが懸念されます。

しかも、日本のワクチン接種率は世界の中でもまだまだ低く、こうした新たな変異ウイルスには一層の警戒が求められる状態です。

ただ、私たちがいまできることは、これまでと変わりません。特に会話する時のマスク着用や3密回避など、1つ1つの対策を改めて徹底しましょう。


(2021年6月24日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)