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「夫婦別姓」で党内二分 自民党どう動く?

2021年6月23日 15:12
「夫婦別姓」で党内二分 自民党どう動く?

最高裁は23日、夫婦同姓を定めた民法規定について「合憲」との判断を示した。この決定を受け政治はどのように動くのか、焦点となるのは、自民党の対応だ。


■「賛成派」議連設立

今年3月25日、自民党の浜田靖一議員らが中心となり、自民党で初となる選択的夫婦別姓の実現を目指す議員連盟「選択的夫婦別姓早期実現議連」を立ち上げた。

会合には自民党の議員約100人が集まり、浜田議員は会合で「解散・総選挙がいつかは分かりかねるが、党内で公約の議論はあろうかと思う。その際には対立することなく穏やかに、私どもの考えを反映できるようにしていきたい」と述べ、秋までに行われる衆議院選挙の前に自民党内で議論を進め、選択的夫婦別姓の実現を選挙公約に盛り込みたい考えを示した。

こうした動きの背景には、夫婦別姓に慎重な姿勢の安倍前首相から過去に前向きな考えを示したことがある菅首相に代わったことで、党内の機運が高まったことがある。また、野党第一党である立憲民主党が選択的夫婦別姓の実現を公約に掲げて選挙に臨む姿勢を見せていることもあり、自民党としても態度を鮮明にするべきだとの声も強まっていた。


■慎重派議連も

ところが、この1週間後の4月1日、新たな議連が立ち上がる。それが「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」。選択的夫婦別姓に慎重な立場の議員らが設立し、初会合にはおよそ150人が集まった。

慎重派議連の呼びかけ人代表である中曽根弘文参議院議員は、この議連の目的について「旧姓の通称使用の正しい理解を広げる、そしてその拡大や周知を促進する、そしてまた十分でない点を改善していく必要がある。」と述べた。つまり、夫婦別姓ではなく旧姓を通称として使用できる機会を広げていけば良いという考えだ。

この議連設立の狙いについて、ある慎重派の議員は「夫婦別姓賛成の議連ができたから、見え方として、自民党は賛成の流れなんだという風に見られては困る」と語り、賛成派の議連への対抗意識をあらわにしていた。


■自民党内に根強い反対論

慎重派は、なぜ選択的夫婦別姓は認められないと主張しているのか。

山谷えり子元拉致担当相は「子どもの名前がどうするかで対立構造が持ち込まれる場合もあるのではないかという議論もしていかなければならない」「選択肢が増えるとかそういう意味ではない。選択的といえどもファミリーネームがなくなるという意味では全体に関わることなので、慎重にしてほしい」「3代4代どんどんいった場合に(姓が)たどれなくなる」などと訴えている。

また別の議員は、夫婦別姓の問題点は「戸籍」にあると指摘。家族がばらばらの名字になれば家族制度自体が崩壊するとして強い危機感を示した。ある保守系の議員は「家族の中に『個の侵害』という概念を持ってくるのはおかしい」。また別の保守系のベテラン議員は「戸籍をいじると根本が崩れる」と譲らない姿勢を見せている。

今月、“慎重派議連”は総会を開き、「選択的夫婦別氏(姓)制度の実現を求める議論も散見される。親子別氏が子どもに与える悪影響などから、国民世論の懸念が大きく、当制度については、冷静かつ慎重に議論を行わなければならない」として「旧氏の幅広い使用を認める取り組みを進めることを自民党公約に盛り込むことを求める」とする決議をまとめた。


■結論は先送りに

党内の意見が真っ二つに割れる中、自民党は4月に作業チームを立ち上げて議論を始め、今月16日、論点整理を行った。そこには、まず、
 (1)我が国の戸籍制度を大切にし、これを維持する
 (2)家族を思う国民の気持ちを大切にし、子どもに不利益が生じないよう十分配慮する
──など、慎重派の主張が盛り込まれた。

その上で、今後、さらに検討を深めるべき論点として、
 〇夫婦同氏制にはどのような意義や機能があるか
 〇氏を改めることによりどのような不利益や影響があるか
 〇氏を改めることにより不利益を解消する制度であるか
──などと記された。

自民党の下村政調会長は記者会見で「氏制度のあり方を巡っては、党内はもちろん、国民各層にも様々なご意見がある。本格的な議論は衆議院選挙が終わってから議論していきたい」と述べ、賛否が割れるテーマを選挙前にこれ以上、党内で扱うことを避け、結論は衆議院選挙の終了後に先送りする考えを示した。

しかし、今回の判決を受け、与党第一党として、これ以上の先送りは許されない。秋の臨時国会や、遅くとも次の通常国会までに対応を迫られることになる。