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酒は「90分」「2人以下」…都方針に店は

2021年6月19日 12:50
酒は「90分」「2人以下」…都方針に店は

緊急事態宣言下で自粛が要請されてきた酒の提供について、東京都は18日、「2人以下」「90分以内」などを条件に認める方針を示しました。飲食店や街の人からは、提供再開を歓迎する一方で、「対応が難しい」「厳しい」と困惑する声も上がりました。

■盛り上がりに酒「欠かせない」

18日、ノンアルコールで時短営業を続けている東京・銀座のチアダンスカフェを訪ねました。店員が「お召し物の消毒失礼しまーす。後ろもお願いしまーす」と、新型コロナウイルスの感染対策をして客に応対しました。

「今日も1日、お疲れさまでしたー!」「アーユーレディ?」「イエス!ゴー!ファイッ !ウィン!レッツゴー!フォー!」と元気な声を響かせました。

通常はオプションで有料のチアダンスは、緊急事態宣言解除後はワクチンを2回接種した客には1曲無料で披露します。

オーナー
「ソフトドリンクだけだと元気になる前に終わってしまう方もいらっしゃるのが現状です。元気に盛り上がっていただくという点では、お酒はなくてはならないものです」

酒の提供は、チアダンスの盛り上がりにも関わります。
 
■店長ら「リーダー研修済み」も条件

東京都の小池知事は18日の会見で、「酒類の提供を可能といたします。2人までの利用、そして午前11時から夜7時までのお酒のオーダー、滞在については90分以内」と説明しました。

都は、23区と一部を除く多摩地域の飲食店に、夜8時までの時短要請を継続します。酒の提供は、客は1グループ2人以下で、滞在時間は90分までとし、店長らが「コロナ対策リーダー研修済み」であることを示す、王冠のついたレインボーマークが貼ってある店舗に限り、夜7時まで認めます。

■再開に「やっと…」 満面の笑顔

休業している都内のビストロでは、スタッフが小池知事の会見を見守っていました。

「滞在時間90分ですね。フルコースを諦めるか、やれる方向に時間帯を変えるか」と話すマネジャー。腕を組み、何度も首をかしげていました。店の外には、王冠つきのレインボーマークが掲げられています。

岩本乃蒼アナウンサー
「今回、このマークが条件の1つになりました」

マネジャー
「まじめにやってて良かったと本気で思っています、今、ここでようやく(効果を)発揮しますね」

マネジャーは早速パソコンで作業して営業案内を作成し、貼り替えました。6月は3日間だけ営業し、7月からは都の要請内で通常営業をするといいます。

岩本アナウンサー
「貼り替えられてどうですか?」

マネジャー
「うれしいですね。素直に、本当にうれしい。やっとですもんね。やったー!精いっぱいやろう。たった3日でも、お客様にとってはね、大切な1日1日だからね。うれしいな」

■開業2度延期「今の状況でベストを」

都内の別の飲食店は、会見前のニュース番組で都の方針を知りました。

代表は酒提供を「条件付きで認める」と伝える速報を見て「条件次第だよ!」と言い、条件として「コロナ対策リーダーの登録」の情報が流れると、従業員に「登録してるよね?研修も終わってるよね?」と確認。「ああ、じゃあ大丈夫だ」と胸をなで下ろしました。

6月27日にオープンを控えていますが、これまで緊急事態宣言の影響で2度にわたり延期していました。

代表
「お酒を出させてもらう以上、僕らも感染拡大防止をしなくちゃいけないので」

――発表された内容に納得されました?
「納得というか、まあ不満を言ってもきりがないので。今いただいた、できる状況の中でベストを尽くして」

■商店街は…取材の全店「従う」

飲食店の集まる都内の赤羽一番街商店街で18日夜、要請に協力している店に話を聞きました。

――2人以下の制限についてどう感じますか?

焼きとん店
「どういう対応をしようかな、ですよね。テーブルをつけずに2人、2人に分けて座っていただければいいものなのか、4人で来たお客さんを断らないといけないのか、その辺がすごい難しいところだと思う」

――滞在時間「90分制」はどうですか?

バル
「さっと飲んで、さっと楽しんでもらって、さっと帰っていただくというところで、時間の中でうちの店に来てくれる客が増えるかなと思って、期待しています」

焼き肉店からは、「2人と3人の違いは何なのか分からない。制限90分は正直厳しい。1回の注文分を焼いたら終わっちゃう」という声も聞かれました。

ただ取材した7つの店すべてが、今後も都の要請に従うと話しました。

■“まん延”移行にも「ゴールは?」

東京・新橋で街の人に聞きました。

フリーター(20代)
「ちょっと早めに始めて、飲もうかなという風に思って。午後5時くらいから」

会社員(40代)
「2人って、同性にしても異性にしても、すごく近しい人じゃないとけっこうハードルが、すごく高い気がするので」

――何人がいいと思いますか?
「せいぜい4人くらいと思いますね」

一方、都内の焼き肉店では、すでに酒の提供を始めていて、夜10時まで営業しています。18日夜も、多くの客が来店し、生ビールで乾杯していました。今後、さらに営業時間を延ばして酒を出すことも検討しています。

――要請を守る店もある中で、酒を提供し夜10時まで営業している理由は?

オーナー
「(従業員に対して)ほぼ100%の生活レベルの維持を、限界まで保障するつもりでいます。何よりそこを守ろうと思った時には、今の段階ではアルコールの提供再開あるいは時間の延長は必要かなと。まん延防止(等重点措置)に切り替わって、ゴールはどこなんだろうと。数字の目標だったり、期間のちゃんとしたゴールを設定されているのかなというのが、非常に気になります」

■状況悪化で酒提供「全面停止」も

東京の新たな感染者は453人。3日連続で、前の週の同じ曜日の人数を上回りました。

また、過去最多の19人が、インド型変異ウイルスに感染しました。全員渡航歴はなく、7人は妻や子どもらからうつった家庭内感染でした。

小池知事は会見で、「今後感染状況などが悪化して、再び『ステージ4』に相当するような状況が視野に入った場合には、直ちに酒類提供の全面停止を要請する方針です」と明らかにしました。

「何としても感染再拡大を食い止めていかなければなりません。また緊急事態宣言に戻るようなことがあってはならない。皆さんお1人お1人の行動、引き続きのご協力をよろしくお願いを申し上げます」と呼びかけました。

(6月18日『news zero』より)