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電動キックボード増加 誤解で危険走行も

2021年6月11日 20:35
電動キックボード増加 誤解で危険走行も

街中で見かける機会も多くなった電動キックボード。気軽に使える次世代の移動手段として期待される一方で、違法走行するユーザーも相次ぎ、懸念の声も広がっています。

■気軽に移動、密も回避 ユーザー数も増加中

渋谷のど真ん中をスイスイと気持ちよさそうに走る人たち。渋谷や新宿などの都心部でよく見かけるようになった「電動キックボード」。手軽に移動できる新たな交通手段として、また満員電車などの密を回避する移動手段として、関心が高まっています。

■電動キックボードのシェアリングも続々

「今年の4月23日にサービスを開始しました。利用者の平均年齢は30代で、通勤などにも使っていただいています」こう話すのは、電動キックボードのシェアリングサービス事業を展開する、株式会社Luupの岡井大輝社長。キックボードを皮切りに、将来的には高齢者が乗車できるような“電動モビリティ”の開発を目標に掲げ、事業を始めました。先進技術を用いた新たな電動モビリティの利用者は日ごとに増えているといいます。

■実証実験まっただ中の「ノーヘル」利用

実は今、国の特例によって認証を受けた事業者らによる、ヘルメットなしでも利用することができる電動キックボードの実証実験が、東京や大阪などの一部の地域で行われているのです。

ヘルメットなしでの利用は、Luup社などの認可事業者が提供する電動キックボードのシェアリングサービスでのみで可能になっています。

今回の実証実験では、電動キックボードの最高速度は時速15キロと定められ、ナンバープレートの設置、ブレーキランプやサイドミラーなどの保安部品の取り付けも必要とされています。

■電動キックボードは「ノーヘルOK?」広がる誤解

一方、認可を受けていない事業者が、公道を走行できない状態の電動キックボードを販売する例も増加。街で見かける電動キックボード利用者のほとんどはヘルメットを着用しておらず、歩行者やドライバーからは不安の声も。

違法な走行は相次いでいて、今年5月、大阪市内で電動キックボードによるひき逃げが発生。運転していた男性が略式起訴されました。「電動キックボードは全てヘルメットなしでも利用できる」といった誤解も広がり、利用者による危険走行が後を絶たないと、岡井社長は分析しています。

「違法で乗ってしまっている方の半分くらいが、たぶん(ルールを)知らないんですね。誤解を与える可能性も非常に多いと考えていますので、啓発活動も一緒に行うことも、僕らの義務と考えています」(岡井社長)

Luup社では今後、IoTの技術を使い、違法な走行をするユーザーを自動的に検知するシステムの導入も目指していて、ユーザーだけでなく社会にとっても安全な乗り物にしていきたいとしています。

全国の観光地などでも導入が検討され、利便性の高い未来の乗り物として熱い視線を浴びている電動キックボード。違法に走行する人を減らし、その利便性や将来性をどこまでアピールできるのか、事業者たちの模索が続きます。