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7月中旬ぐらいにはインド型が国内の半数か

2021年6月10日 4:49

新型コロナウイルスのワクチンを高齢者の9割が7月末までに打ち終えても、8月上旬以降、東京で緊急事態宣言を出すほどの流行が起きうるとの予測を、京都大学の西浦博教授が発表しました。

西浦教授は、高齢者のワクチン接種が進む中、2回の接種を終えた高齢者の割合によって、東京都の流行状況がどうなるかを予測しました。

想定は、今月20日までの緊急事態宣言が東京都で解除され、その後、今年3月末から4月にかけての大阪と同じような流行が起きるというもので、重症者数を予測しました。

その際、たとえば、“高齢者と20代とはあまり接触しない”など実態にあわせるため、ある年代の感染者が同じ年代、別の年代にそれぞれどの程度、感染させるかを細かく入力したということです。

その結果、7月末までに2回のワクチン接種を終えた高齢者の割合が多い場合ほど、高齢の感染者は減りますが、それ以外の年代での感染状況は、大きく変わらないという予測が出ました。

そして、7月末までに、高齢者の9割がワクチン接種を終えたとしても、高齢者以外で大きな流行が起き、8月上旬には、重症者の病床が7割程度埋まり、緊急事態宣言を出すレベルに達する予測となったということです。

この予測の想定には、企業や大学などで若い世代のワクチン接種が拡大することは含まれておらず、西浦教授は「それによっては、ポジティブな影響が想定される」と述べました。

また、オリンピックによる人の移動やインド型の変異株の影響も加味されていません。

西浦教授は「これは悪い場合のシナリオだが、実効再生産数が上がりすぎない状態(流行を抑えた状態)で、オリンピックを迎えないと結構厳しい状況になる」と指摘しています。

また、高齢の重症者が減り、病床に占める中年、壮年の重症者の割合が増えるとみられますが、この点について西浦教授は「何としても助けたいケースが増え、医療現場では、相当精密な治療やケアの努力を要することになる。そして、まだ働ける世代の命が奪われるインパクトは社会としても大きなこと」と述べました。

さらに、高齢者が感染するとおよそ11%が重症化するが、中年、壮年は、およそ2.4%の重症率なので、中年、壮年で重症化病床が埋まる事態になると、感染者全体は、これまでよりもかなり多くなるとみられるということです。

そのため、重症者病床のひっ迫度合いをもとに緊急事態宣言を出すかを判断すると、流行がかなり拡大してしまい、緊急事態宣言を解除できるまでに、より長い期間が必要になるとして、注意を呼びかけました。

一方、西浦教授と北海道大学の伊藤公人教授は、インド型変異ウイルスによる置き換わりの予測も発表しました。

日本国内で見つかったインド型の変異ウイルスは、感染力が、従来株のおよそ1.78倍、イギリス型のおよそ1.2倍とみられることが分かったということです。

そして7月中旬ぐらいまでに、インド型が、国内で確認される新型コロナウイルスの半数を占めると予想されるということです。