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“価値ない魚”に価値を「未利用魚」が注目

2021年6月10日 19:40
“価値ない魚”に価値を「未利用魚」が注目

形やサイズが不ぞろいなことなどが理由で、とれても市場にほとんど出回らない未利用魚と呼ばれる魚が、いま、注目されています。海洋資源を守りフードロスを防ぐ、SDGsの取り組みの1つとして、深海魚などの珍しい魚も販売されています。

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10日朝、神奈川県横須賀市の漁港では、大量の魚が次々と水揚げされています。サバやブリなど、なじみのある魚が、漁港内で仕分けられていましたが、その片隅には、あまり見慣れない魚が並んでいます。鮮やかな赤色の魚は─。

早鈴直売所・鈴木龍司さん「ヒメジって魚なんですけど、アダ名でオジサン、ヒゲがついているんです。これは白身で、すごくおいしい。いまの時期脂もしっかり入っているので」

「イタチウオ」という魚も。

早鈴直売所・鈴木龍司さん「水揚げされても、1匹2匹いるかどうかなので、まぁ市場に出回らないですね。これも未利用魚の1つですね」

実はこれらの魚はすべて、「未利用魚」と呼ばれるものです。形やサイズが不ぞろいだったり、まとまった漁獲量がとれなかったり、と一般的に市場には出回らず、おいしく食べられるものの、中には廃棄される魚もあるといいます。

そんな「未利用魚」を買い取っているのが、横浜市にある魚の卸会社です。その会社が運営する鮮魚店、早鈴直売所では、一般的な魚とともに「未利用魚」の販売も行っているのです。

早鈴直売所・鈴木龍司さん「(未利用魚も)漁師さんが毎朝とってくる魚ではあるので、それを捨てるのはもったいないので、それを僕らの力によって、飲食店・お客様に積極的に広めていければいいのかなと」

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鮮魚がうりの都内の居酒屋でも、見せてもらったのは、鋭い歯を持つ「オオカミウオ」という魚です。こちらの店では「オオカミウオ」などの未利用魚を適正に処理した上で、2006年から提供しているといいます。

緊急事態宣言で店は休業中ですが、特別に調理してもらったお寿司をいただいてみると、見た目のイメージと違って、味はさっぱりしています。クセがなく弾力があるのが特徴だといいます。

四十八漁場池袋東口店 責任者・市原秀一さん「ポピュラーではない魚に価値をつけて、水産資源を守っていくところに寄与できればいいなと」

世界の水産資源が減少する中、国連食糧農業機関は去年、ほとんどの地域でおよそ3割の魚が、廃棄されているというデータを発表しました。

“食品ロス”を防ぐためのアプリも、登場しています。このアプリでは、食料品などを中心に、訳アリ商品や廃棄される商品を販売・購入することが可能で、先ほどの早鈴直売所も未利用魚などが入った魚の詰め合わせセットを販売しています。

レット執行役員・金麗雄さん「出品者数が去年4月で1600店舗のところが、直近では1万店舗を超えている」

出品者数の増加とともに、コロナ禍でおうちご飯が増加したことで、ユーザー数も1年で倍以上になっているといいます。

これまで価値がないとされていた魚に価値を。回転寿司チェーン「くら寿司」では─。

くら寿司広報宣伝IR本部長・岡本浩之さん「あまり利用されてない魚を活用するということは、この1~2年ですかね」

くら寿司では、ランチで提供している海鮮丼の具材の一部にボラやシイラなどを活用。「1船買い」という形で、漁師と年間契約をして、漁獲された魚をすべて買い取っているといいます。

くら寿司広報宣伝IR本部長・岡本浩之さん「漁師さんの収入を安定させて、日本の漁業が担い手が少なくなっている。漁師としての魅力アップにつながればと」

「未利用魚」を有効活用する動きは、より身近になっています。