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接種で抗体“全員増加”生活習慣などで差も

2021年6月4日 20:26
接種で抗体“全員増加”生活習慣などで差も

新型コロナウイルスのワクチン接種によって、ウイルスと闘う抗体がどれくらいできるのかを調べた研究で、年齢や性別、お酒を飲む頻度などによって、差があることが分かりました。詳しく説明します。

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4日、行われた東京都のモニタリング会議で、国立国際医療研究センター・大曲貴夫センター長は、「新規陽性者数が下がりきらないまま、変異株の影響もあって感染が再拡大する危険性が高い」とリバウンドへの危機感を強調しました。

また、東京都医学総合研究所・西田淳志研究員は、「宣言の延長後も人流は増えている。まずは、今週末のレジャー目的の人流増加を抑えることが重要」と指摘しました。

■ワクチン接種でつく抗体 増え方に違いが

人との接触を減らす努力を続けるとともに進めていきたいのが、ワクチン接種です。接種によって、どれくらいの抗体がつくかを調べた興味深い研究結果が発表されました。

千葉大学病院が職員1774人について、ファイザーのワクチンを接種する前と2回接種した後の「抗体の量」を調べたところ、「99.9%」と、ほぼ全員が大幅に増えたことが分かりました。つまり、ワクチンを打てば、ほぼ間違いなくウイルスと闘う抗体が体の中にできるということが、改めて確認されました。

さらにこの研究では、年齢や性別、生活習慣などで抗体の増え方に違いがあることも分かりました。

まず、年齢で見ると「年齢が高いほど、抗体は増えにくい」ことが分かりました。一般的に高齢になるほど様々な刺激に対する体の反応が鈍くなるので、それが関係していると考えられています。次に、性別では「女性の方が、抗体が増えやすい」ことが分かりました。これも理由はまだよく分かっていないのですが、コロナに限らず、他のワクチンなどでも女性の方がより敏感に反応する傾向があるといわれています

実際のデータでは、20代女性の方と60代男性を比べると、若い女性の方が2倍近く抗体の量が多いことが分かりました。

次に、飲酒の頻度についてです。「飲酒の頻度が高い人ほど、ワクチン接種後の抗体の量が増えにくい」ということです。お酒を全く飲まない人に比べると、毎日飲酒する人は、20%くらい抗体の量が少ないという結果になりました。ただし、週に2~3回程度の飲酒であれば、全く飲まない人とではほとんど差がなかったという結果も出ています。

■過去に感染の人も接種で抗体量は数百倍に

ワクチンを打って一番、抗体の量が増えやすいのは、「過去に新型コロナに感染したことがある人」ということも分かりました。過去に感染していたら抗体があるから、ワクチンを打たなくてもいいとも思われますが、得られる抗体の量が全く違いました。

ワクチン接種で得られる抗体の量は、感染によって得られる抗体の量の数百倍にもなります。そのため、過去に感染していても、改めてワクチンを接種することには十分、意味があるということです。

一方で、今回の研究では「肥満度」「アトピー性皮膚炎」「高血圧」などでは、抗体の量には差が見られなかったといいます。

今回の研究では、性別や年齢、飲酒などによって抗体の量に差が出ることが分かりましたが、抗体がつきにくいケースでも、ワクチン接種によってウイルスと闘うための十分な量の抗体ができることが分かったので、研究チームは「安心して接種してほしい」としています。

■接種した人ほとんどが副反応を経験

また、「副反応」、についても研究結果が出ています。1回目でも、2回目でもおよそ9割の人に、何らかの副反応の症状があったということです。具体的にどのような症状が出ていたかというと、37度5分以上の発熱は、2回目の接種後におよそ1割の人が経験していました。接種部位の痛みは、1回目と2回目共に7割以上の人に出ています。ほかに「疲労感」、「筋肉痛」、「頭痛」などといった症状も多く、いずれも1回目より2回目の接種後の方が、多くみられました。

特に1回目と2回目で差が大きかったのが「寒気」です。1回目では5.9%ですが、2回目では41%の人が寒気を感じたということです。

副反応は体がワクチンに反応している証拠でもあるので、慌てずに様子をみることが大事です。ただ、熱が2日以上続くなど、症状が重い場合は、主治医や自治体の窓口に相談することを検討することも必要です。

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これまでワクチンの有効性や副反応については、先行する海外の事例やデータを参考にしてきましたが、日本でも徐々に接種が進み、効果などを検証できるデータが積み上がってきています。こうした日本人の実態により即した知見を有効に使って、ワクチン接種の政策や判断に生かしていきたいです。

(2021年6月4日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)