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国連トップを直撃「日本はさらに意欲的に」

2021年6月3日 8:53
国連トップを直撃「日本はさらに意欲的に」

日本テレビの「Good For the Planet」キャンペーンにあわせて「news every.」の藤井キャスターと鈴江キャスターがお話を伺ったのは、SDGs(持続可能な開発目標)の旗振り役である国連の事務総長、アントニオ・グテーレス氏(72)です。

日本の男女格差や気候変動対策について聞きました。

※単独インタビューの全文記事(2/3)です。


■ジェンダー平等…「日本にはやるべきことがまだまだたくさんある」

Q(鈴江キャスター):コロナによって「男女格差」も浮き彫りになっています。ジェンダーギャップ指数で日本は156か国中120位で、G7最下位です。こうした状況を改善するために何が大事だと思いますか?

A(グテーレス事務総長):
ジェンダー平等を促進するため、あらゆる側面で明確な政策を持つことが、とても大事だと思います。

私は、まず何より、国連の200人ほどの指導部で、ジェンダー公正に達することができたことを誇りに思います。現在は、意思決定に携わる最高幹部の50%が女性で50%が男性です。そしてこのことで、ジェンダー平等の原則を全面的に考慮に入れた形での意思決定が確実にできるようになります。

そして日本でも、政治や経済運営の分野により多くの女性を参入させようと努力されていることはとてもいいことだと思います。これはとても重要な目標で、日本がさらにこの方向に向かうよう強く促したいと思います。

さらに、教育におけるすべての政策についてジェンダー平等が浸透するようにしなければなりません。日本の女子教育が素晴らしいことは存じておりますが、仕事について言えば、日本にはやるべきことがまだまだたくさんあります。

女性の労働市場への参画を容易にし、女性が家庭と仕事を両立しやすくするために、積極的な格差是正措置が必要です。これは、育児支援や家庭生活のほかの問題への支援にも関わることで、女性が地域社会で活躍するだけでなく、仕事やキャリアを継続する機会を持てるようにするためです。

またもちろん、妊産婦の健康や、性と生殖に関する健康にも関わる問題です。女性のあらゆるニーズに対応できるようにするための投資が不可欠となりますが、当然ながらこれには時間がかかります。時にはより多くの困難が伴う問題ですが、ジェンダー平等への世界的なコミットメント、あらゆる政策に男女平等の考え方を取り入れることが極めて重要です。

新型コロナウイルス感染症で私がとても懸念していたのは、コロナがジェンダーに基づく暴力を増やしてしまったことです。家庭内ですら、暴力に苦しむ女性たちが、世界中でますます増えてきました。

だから、我々がお願いしてきたことの1つで、幸いにも本当に多くの国々の政府が優先事項と見なしてくれた問題ですが、それは、ジェンダーに基づく暴力に戦いを挑むことです。性的搾取や性的虐待、あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力をなくせるよう、我々は状況に対応しようとしています。女性に、現代社会が提供しうる可能性を全面的に享受してもらえるようにしなければならないからです。

■気候変動…「日本にはさらに意欲的になるよう促したい」

Q(藤井キャスター):4月の気候変動サミットで先進国は温室効果ガスの削減目標を引き上げ、日本も2013年度比で46%削減という目標を掲げました。ヨーロッパ諸国に比べて「意欲的ではない」という批判もありますが、どう受け止めていますか?

A(グテーレス事務総長):
まずは、2050年にネットゼロエミッション(温室効果ガス排出を実質ゼロ)にするための日本のコミットメントに深く感謝したいと思います。2050年にカーボンニュートラルを達成することは、我々が現在掲げる中心目標です。気温上昇を1.5度未満に抑えるためですが、そうしなければ、世界中が壊滅的な状況になってしまうからです。このことについての日本の指導力、そして菅首相のネットゼロへの非常に強力なコミットメントに対して、私は全面的に感謝したいと思います。

日本は、今後の10年間の活動について、大事な提案をしました。私は、こうした提案がいっそう改善されることを願って、さらに話し合うことになります。しかし私は、菅首相が就任して以来、日本が本当に前向きに動いている事実を強調したいと思います。

我々は当然、もっともっととお願いすることでしょう。それが国連の役割ですからね。気温上昇を1.5度未満に抑えるため、2050年には確実にカーボンニュートラルを達成しなければなりません。世界の気温上昇はすでに1.2度のところにまで来ています。これにより、ひどいハリケーンや熱帯の暴風雨がますます増え、世界各地が干ばつに見舞われ、一部地域では、移住を余儀なくされる人々が押し寄せる事態となっています。

気温は上昇し、海ではサンゴが消えていき、白化し消滅しつつあります。北極では氷河が解け、氷帽が消えつつありますが、こうしたことすべてが、すでに破壊的な影響をもたらしています。これを食い止めなければ、本当にひどい事態となる危険性があります。

だからこそ私は、日本にはさらに意欲的になるよう促したいと思います。ただし、日本がとても重要な一歩を踏み出したことは認めなければなりません。

■石炭火力発電廃止「日本の前向きな対応を」

Q(鈴江キャスター):日本はG7環境相会合で石炭火力発電の輸出維持を表明して、石炭火力発電の全廃に消極的といえる姿勢を取り続けています。このことについてはどう思われますか?

A(グテーレス事務総長):
石炭への反対は明確です。我々は、石炭火力発電所をこれ以上建設すべきではないと考えていますが、実際、日本では、着工済みの最後の一基の建設を中止することがすでに決定されたと思います。これはとても前向きな一歩です。

我々はすべての国々に、海外の石炭火力発電所への融資をやめるよう求めており、韓国がこの方向での決断を下しました。来週開催されるG7首脳会談では、G7各国にこの決断を下してもらいたいと我々は望んでいます。

この点では、私が中国や韓国、欧州やその他の国々に働きかけてきたように、日本にも国内でも海外でも前向きになるよう促したいと思います。世界中の石炭火力発電への融資をやめることはとても重要だと思います。なぜなら、石炭は地球温暖化の最悪の要因となっているからです。

もちろん、ほかの化石燃料もあり、我々にはこれを全般的になくす責任があり、化石燃料などへの補助金をなくすよう、我々は全般的なコミットメントを求めてきました。まだ過渡期ではありますが、気候変動への取り組みに対して、石炭こそが最も深刻な悪影響を及ぼしているのは確かです。


※国連トップ「日本には素晴らしい鉄道網」 に続きます

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■「Good For the Planet」とは

SDGsの17項目を中心に、「地球にいいこと」を発見・発信していく日本テレビのキャンペーンです。
今年のテーマは「#今からスイッチ」。
地上波放送では2021年5月31日から6月6日、日テレ系の40番組以上が参加する予定です。