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無駄なく、加速を…ワクチン接種へ取り組み

2021年6月1日 3:59
無駄なく、加速を…ワクチン接種へ取り組み

国の大規模接種が始まって一週間。東京の会場は、都民のみだった接種対象を1都3県に拡大し、行列に。一方、“独創的な方法”や薬剤師らとの連携で、いかに無駄なく、ワクチンの接種スピードをあげられるか、各地で様々な工夫が行われています。


◆東京で“1万人接種”開始

国の大規模接種が始まって一週間。東京の会場は、都民のみだった接種対象を1都3県に拡大し、行列に。一日あたり最大となる1万人接種が始まりました。

接種を終えた横浜市に住む女性(69)「一番最初の受付のところは混み合ってるけど、その先、結構スムーズでしたよ」

スムーズに接種を終えられた人もいれば、“特別な思い”で、この場所に来ていた人も。

横浜市に住む女性(50代)「(両親の接種予約が)横浜市、毎日チャレンジしてもとれないので、まず私が下見に来ました」

両親の予約に向け下見に来ていたという、この女性。見せてくれたLINEには──

 「今日何十回かけたか・…駄目だったよ」

横浜市に住む女性(50代)「(約1か月間)とれないんだよっていう嘆きのラインが毎日はいってきます。毎日予約をとらなきゃというストレスから解放してあげたくて。かわいそうでしょうがないです」

ただ、東京での接種について両親は──

横浜市に住む女性(50代)「やはり横浜から東京に出るのが遠いということで、1回言ってみただけで即却下されたので、今日、私が説得してみてどうかなと」

大規模接種会場では、直前のキャンセルも相次いでいて、東京では、前日までと当日のキャンセルがそれぞれ800人超えに。政府は6月1日から接種前日までの予約を可能にし、6月2日からはキャンセル分を見越して予約枠も拡大すると発表しています。


◆福岡・宇美町は“独創的な方法”で接種を加速

いかに無駄なく、接種スピードをあげられるか。“独創的な方法”で接種を加速させていたのが、福岡・宇美町です。

集団接種会場にずらりと並ぶ、高齢者の“腕”。そこに医師が登場すると、1人20秒以内で次々と接種。

医師「はい終わりです」

接種した高齢者「まぁ、もう終わったの」


◆東京・豊島区、薬剤師らの協力でスピードアップ

東京・豊島区では31日夜、薬局での仕事を終えた薬剤師が、帰宅せず区の保健所へ。続々と薬剤師が集まり始まったのは、ワクチンの仕分けです。かかりつけ医による個別接種が全体の7割を占める豊島区では、薬剤師らの協力を得て、接種のスピードアップを図っています。

およそ200ある医療機関に区からワクチンを届けると配送に時間がかかるため、区では、まず、41の拠点薬局にワクチンを配送。その薬局から医療機関に届けることで、配送時間を大幅に短縮しているのです。

そのカギを握る薬剤師は──

薬剤師「大変だけど大変じゃないです。とにかく世の中を落ち着かせるために、少しでも力になれれば」

さらに、ワクチンを受けとったクリニックも──

池袋大谷クリニック・大谷義夫院長「ワクチンの筋肉注射自体は数秒でおわります」「ただ、その前の、冷凍で管理して冷蔵に戻して、さらに室温にして時間をおいてから生理食塩水でといて、6人分のシリンジ(注射器)に吸い上げるというこまかな作業はやや繁雑です」

お昼の休憩や休日も返上で接種にあたっているといいます。

大谷義夫院長「スタッフは年末年始もGWも発熱外来で休みがない状況が続いていましたけど、今回もワクチン接種が収束に不可欠だと考えているので、クリニックをあげて頑張ろうと考えております」


◆企業の協力も…“ギリギリ”の病院も「ワクチン接種にかけてみる」

接種の加速に、企業の協力も相次いでいます。

大手電機メーカーの富士通は6月7日から、神奈川県川崎市の自社が運営するクリニックで接種を開始。ソフトバンクは、医療関連サービスのグループ会社で働く医療資格を持つ社員が集団接種のボランティアに参加する場合は、最大2日間まで有給休暇とすることを決めました。

ほぼ満床のコロナ患者の治療を続けながら、ワクチン接種を並行する病院も。

東京曳舟病院・三浦邦久副院長「いま、スタッフがギリギリの状態で回しているのが現状」

それでも、現在一日36人の接種を、今後、倍の72人に増やす必要があるため、病院内に新たなスペースを確保し、接種を始めたといいます。

三浦邦久副院長「今は本当にカツカツの人数で、まずできることを、目の前にあることをやっていくと。今の時点ではワクチン接種にかけてみる。(感染の)流れをとめるにはそれしかないと思っています」